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・御幸side
「ったく…なんでオレが…」
オレは今、せっかくの休み時間だというのにも関わらず、1年の教室に向かって渡り廊下を歩いている。
事の始まりは数分前。
先程まで片岡監督の授業を受けていた俺達2年B組は、授業後に呼び出され、今度の練習試合の日程表を他学年にも渡しといてくれと頼まれ、今に至る。
倉持は3年、オレは1年に、ということで。
めんどくせーなぁ、部活の時でいいじゃんかよ。
なんて愚痴をこぼしながら、階段を折りて一番近いクラス、1年C組の扉から顔を覗かせる。
『やったあ!沢村に勝ったあ!』
「ぬぅあ!!!」
「どんぐりの背比べって言葉知ってるか!?お前ら!
………うるせー。
教室の中からは誰か予想のつく2人の声と、1人の女子の声が聞こえてくる。
沢村はどこにいてもうるせーな、ほんと。
『はっはっはー、かねまーる褒めて褒めて』
「褒めるほどの点数じゃねーだろ」
あ、れ。
あの女子って確か…。
金丸が動くと見えてきた声の主。
前に遠目で一回見ただけなのに、何度も見たことある彼女の顔が矛盾を生む。
違和感はあの、ハイライトカラーのショートカットの髪のせいか。
「くっそぉぉぉ今日の俺のおかずが…」
『勝負しようって言ったのは沢村だからねー
天才って呼んでもいいよ、ほら金丸も』
「へーへー」
「え、1年からその点数ってやばくね」
「え?」
あ。
沢村か金丸に紙だけ渡して去ろうと思い近づいた時。
たまたま見えてしまった彼女の解答用紙に書かれた点数を見て思わず声が出る。
1年女子、恐らく、いやほぼ間違いなく、琴原結奈の双子の妹である、琴原結衣の情けない顔(笑)
近くで見ても、まるっきり同じ顔だ。
構造は同じでも、作られる表情が双子でもこうも違うのか、なんて、若干失礼とも取れることを考える。
いやまあ、知らない先輩にこんな風に話しかけられたら誰でもこんな顔になるか。
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