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・御幸side



「…は?」

「どうした?」





6限が終了し、クラスメイトも皆、部活へ向かったり、帰宅したり、教室内でまだ喋っている奴がいる中、特に一緒に行く約束もしていないが、毎日ほとんど決まって、倉持と部室へと向かう。
今日も例外無く、倉持と何気ない会話をしながらグランドまで歩いてくると、突如倉持がアホな声を出した。





「あれ、琴原だよな?」

「それがどうしたんだよ」





倉持の視線の先には、既にグラウンド内でボール出しをしたりと、動き回っている琴原の姿があった。
彼女が入部してから、既によく見る光景だが、なにを疑問に思うんだと問う。





「さっき髪短かったろ」





そう倉持に言われ、今日の休み時間の時の事を思い出す。
ああ確かに、髪切ったんだとか何とは話てたな、と一人で納得する。





「そーいえば。じゃ別人だったんだろ」

「んだよお前、つまんねーな」





他人の空似と言う言葉があるように、似てるやつなんてこの世に何人もいるだろう。
ましてや遠目に見ていたのだから、少しばかし似ていようがそっくりに見えてしまうものである。


何がそんなに気になってんのか、そんな思いをしながら先に部室に入る。

俺の後に続いて入ってきた倉持に、「女子にモテるからって…」なんてぼそりと言われたが、関係ないだろと思いながらも、特に反応する事なく着替えを始める。


俺よりも後に着替え始めたはずの倉持は速攻で着替え終え、何をまだそんなに疑問に思うのか、さっさと部室を出ると真っ先に琴原の元へと向かう。





「なぁなぁ琴原。お前、今日カツラとか被ってた?」

「え、カツラ?」

「ぶっ、聞きたかったのそれかよ」

「うるせーよ御幸。さっきさ…」





と、倉持が先程の話をする。

オレはそんな話を横にレガースを取りに行こうと用具室へ向かった。





「あ、それ。双子ですよ」





琴原から思わぬ言葉が聞こえ、ピタリと足を止めた。





「琴原双子なの?」

「あ、はい。そうです。倉持先輩の特徴を聞く限り、多分結衣のことだと思うんですけど…」

「あー、だからか。授業中見てたけど、その子めっちゃ運動神経よかったもんな」

「そうなの?」

「沢村と競い合ってたぜ。まぁ琴原は運動神経悪いもんな」

「い、言わないでくださいっ」





倉持は目が良い。
いくら遠かったといえど、倉持にははっきり、体育を行っていた彼女の顔がしっかり見えていたのだろう。
そんでどうしても確かめたかった、と言うわけか。

倉持は謎が解けて満足した表情で用具室へと向かう。

まぁ俺も別に気になっていた訳ではないし、今どき双子なんて珍しくもなんともないが、なんとなく、双子のもう片方って気になるもんだな…。
なんて思いながら、レガースを付けブルペンへと向かった。



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