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・御幸side
「ん?あれ…」
先程まで俺のことを見下ろしていた倉持の視線が、突然窓の外へと切り替わり、言葉を溢す。
オレもそれに釣られ、窓の外に視線を移し、校庭を見下ろした。
「沢村じゃん」
「ヒャハハ、あいつ体育でも走ってんのかよ」
校庭を見ると、この後体育なのか、体操着姿の問題児新入生沢村、そして金丸も目に入る。
何故か沢村だけ校庭走ってっけど。
倉持が沢村を見ながら笑っている中、俺は1人の女子生徒に目が入った。
「ん?なんだよ、女子見てんのか変態」
「うるせーよ。あのショートカットの子、琴原?髪切った?」
「あん?」
沢村を見てから少し視界を広げると、ある人物の姿が視界に入る。
先程まで話題に出ていた琴原結奈だ。
別に彼女に興味があるから見ているとかそう言うことではなく、大きな違和感を感じたからだ。
俺の知っている彼女の髪は、第一印象を彩るほどの綺麗で腰辺りまで伸びたストレートの長い黒髪。
しかし今俺の視界に映る彼女は、長い髪は半分ほど切られ、わずか肩までしか伸びていなかった。おまけに艶のある黒髪と言うよりは、茶色がかったハイライトカラー。
遠目でよくは見えないが、ここからでも琴原と認識できるぐらいには、顔は完全に彼女そのものだ。
「あ?あれ琴原か?似てるけど」
「わかんね、あんま見えねー」
「まじか、長い髪似合ってたのにな」
倉持の言葉にそうだな、なんて適当に返事をしながら
予鈴を告げるチャイムが鳴った為、次の授業の準備を始めた。
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