2


・御幸side



「ん?あれ…」





先程まで俺のことを見下ろしていた倉持の視線が、突然窓の外へと切り替わり、言葉を溢す。

オレもそれに釣られ、窓の外に視線を移し、校庭を見下ろした。





「沢村じゃん」

「ヒャハハ、あいつ体育でも走ってんのかよ」





校庭を見ると、この後体育なのか、体操着姿の問題児新入生沢村、そして金丸も目に入る。

何故か沢村だけ校庭走ってっけど。


倉持が沢村を見ながら笑っている中、俺は1人の女子生徒に目が入った。





「ん?なんだよ、女子見てんのか変態」

「うるせーよ。あのショートカットの子、琴原?髪切った?」

「あん?」





沢村を見てから少し視界を広げると、ある人物の姿が視界に入る。
先程まで話題に出ていた琴原結奈だ。

別に彼女に興味があるから見ているとかそう言うことではなく、大きな違和感を感じたからだ。

俺の知っている彼女の髪は、第一印象を彩るほどの綺麗で腰辺りまで伸びたストレートの長い黒髪。
しかし今俺の視界に映る彼女は、長い髪は半分ほど切られ、わずか肩までしか伸びていなかった。おまけに艶のある黒髪と言うよりは、茶色がかったハイライトカラー。

遠目でよくは見えないが、ここからでも琴原と認識できるぐらいには、顔は完全に彼女そのものだ。





「あ?あれ琴原か?似てるけど」

「わかんね、あんま見えねー」

「まじか、長い髪似合ってたのにな」





倉持の言葉にそうだな、なんて適当に返事をしながら
予鈴を告げるチャイムが鳴った為、次の授業の準備を始めた。



×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -