過去の日記から
新境地バトン1


恋愛抜きの戦闘系新境地バトン

BL、GLが苦手な人の為の、恋愛抜きの新境地バトンです。
もしかしたら恋愛入ってるかも知れませんが……。
けれど、戦闘系多めです。ファンタジー系の世界観がいいと思います。


[1]⇒沖田
[2]⇒土方
[3]⇒永倉
[4]⇒山崎
[5]⇒近藤


【A】何故かしょっちゅう殴り合いの喧嘩になる[2]と[4]。けれど、毎回止めに入る[5]が1番大怪我をする。
→※2:土方 4:山崎 5:近藤

ここは真選組屯所の中庭。そこに黒髪頭二つ、火花を散らして睨み合っていた。
真選組副長土方の手には抜き身の刀、同じく真選組監察方山崎の手にはラケット――両者の間に西部劇のような砂埃が舞う。

「ミントンしてて何が悪いんですか?俺はこれで宇宙を渡るんです」
「んなくだんねぇ棒振り回すだけで何が宇宙だ。てめぇじゃあ蟻の行列すら渡れねぇよ」

そんな二人を周りの隊士達は固唾を飲んで見守っている。
その中に真選組局長、近藤の姿があった。

「ま、またか…お前達。どうしてそう仲良くできな」
「黙っててくれ、近藤さん。今日こそ上司自らコイツにヤキを入れなきゃならねぇようだ」

焦る近藤に見向きもせず、土方は口に加えていた煙草を砂利に吐き捨てた。

「い、いや…しかしだな、トシ。俺はいつも言って」
「いいからあっちに行っててくれ!!」

土方の肩にバズーカが担がれたその瞬間、爆音が屯所を揺るがせた。近藤の体が黒煙と共に宙を飛ぶ。
そんな真選組トップを尻目に山崎は静かに首を横に振った。

「あなたにラケットの素振りがどんなに大切かなんて分かる筈ないんだ!」

山崎の目が鋭く光った。ラケットから放たれたシャトルが稲光の如く、土方を襲う。

「料理を引き足させる黄金の調味料の存在を否定する奴なんざのやるこたぁ理解できねぇ!」

笛のような刃鳴りと共に土方の刀がシャトルを斬り裂いた。
山崎は地を蹴った。真っ二つに割れたシャトルが地に落ちる前に、土方の近間に入り込む。ラケットを振り上げ、まるで鉄槌を振り下ろすかのように唸りをあげて面を狙いにいった。
土方は瞬時に刀を木の枠に絡ませて巧妙に外す。山崎は巻き込まれたラケットを引き離そうと手首を捻った。だが、土方の蹴りが腹を直撃し、後方へ吹っ飛ぶ。山崎の体は砂利に大きな筋を作りながら滑り、岩に肩を強くぶつけて止まった。

「たかがラケットが刀に適うと思ったか。マヨネーズとケチャップの力量の差ぐれぇあんだよ!」

土方は地に倒れる山崎を見下しながら鼻で笑う。山崎は口の端から出る血を手の甲で拭いながら起き上がった。

「ザ、ザキ!だいじょぐはぁ!!」

煤だらけの近藤の顔に山崎の裏拳がめり込んだ。

「ふん…このラケットを甘くみない方が良いですよ」

山崎が持つラケットが不気味に光った――その刹那、まばゆい閃光が辺りを包む。

「なっ…!!」
「改良に改良を重ねたラケットの威力、見るが良い!!」

ラケットに張り巡らされているガットがまるで生きているかのように土方の体に巻き付いた。

「くっ…てめぇ…いつの間に…!!」
「いつも良いようにやられてましたが…今回はそうはいきませんよ」

山崎の口元がわずかに上がった。


⇒初っぱなからカオス。そして殴り合いではない。すみません本当に。



【B】剣を振り回す[3]に「危ない」と注意する[1]。けれど[1]もなかなかの使い手の為、[3]は手合わせを申し込む
→※1:沖田 3:永倉


道場前に立つ大きな木。その傍で永倉は刀の柄に手を掛けて宙を見据えていた。

――突如、風が吹き荒れた。木が大きく揺れ、枯れ葉が舞う。
永倉は刀を抜いた。その瞬間、辺りに舞っていた葉が細かく散る。原型を留めている葉は一枚もなく、塵となったそれは風と共に空へ吹き上がっていった。

永倉は刀を納めず、その様を見上げていた。すると頭上の木の枝がガサリと揺れ、拳大の固形物が黒髪の頭目掛けて落ちてくる。

「!」

咄嗟に刀を振り上げ、それを斬った。地に落ちたそれを見れば、割れたリンゴ。怪訝に眉をひそめていると頭上から声がした。

「あぁーあ。せっかくの差し入れだったのにさァ」
「…沖田か」

短く息を吐いて、上から降り立った亜麻色の少年を見た。

「何そんなカッカしてるんでさァ」
「別に」

そう呟いて沖田から目線を反らす。誰がどう見ても機嫌が悪い小柄な青年に沖田は大袈裟に溜め息を吐いた。

「仕方ねぇじゃねぇか。全部下の段にやっちまったら俺ら取りにくいし」
「…何の話だ」
「え、皿の話じゃねーの?ほら、飯当番の時に上の方にある皿が取れなくて困ってたって二番隊の隊士が」
「違うわァァァァ!!!!」

永倉は刀を大きく振りかぶった。ブォンと白刃が沖田に向かって振り下ろされる。沖田はそれを難なく避けた。

「それそれ。今日の永倉は抜刀率が高いってみんな困ってたぜ」
「!」

沖田の言葉に、追撃をしようと横に開いた永倉の刀が止まった。

「俺ならそんなぐらい避けれるけどさ。他の奴等どうよ、下手すりゃほんとに斬っちまうぜ」
「ばっ…!いくらなんでも身を断ち切る前に止めれるわ!」
「そうか?今のお前じゃそんな器用な事できるようには見えないけど」
「…」

永倉は苦々しく顔を歪めて頭を掻く。そして己を落ち着かせるように深く溜め息を吐くと沖田の方を向いた。

「なぁ…ちょっと付き合ってくれないか?」

そう言い、道場の方を親指で差した。

「良いぜ。竹刀?真剣?」
「どちらでも」

互いにニヤリと笑い、道場まで走って行った。



⇒最初の奴に比べれば何という安心感。だが、永倉が何故に機嫌が悪かったかは謎。



【C】結局は[1]にフルボッコにされた[3]。その様子を、苦笑しながら[4]が眺めていた。→※1:沖田 3:永倉 4:山崎


「大丈夫ですか?」
「!」

斬り傷だらけの永倉に山崎が救急箱片手に近付いてきた。

「見てたのかよ…」
「そりゃあもう冷や冷やしながら。稽古は竹刀でして下さいよ」

山崎は苦笑しながら救急箱を開けた。
陽は完全に沈み、外は真っ暗になっていた。静かな地虫が鳴き、医療道具の音が道場内に響く。

「でもスッキリしたわ」
「そうですか」

満面の笑みを浮かべる小柄な青年に、山崎も微笑み返した。


⇒前のお題で出し切ったので短いです。
つか本当にどうした永倉。



【D】弓を上手く扱えないでいる[2]に見本を見せようとして的を狙う[5]だが、なかなか当たらなかった。そんな時、斜め後ろから[1]が1発だけ放った矢が的の中心を射る。
→※2:土方 5:近藤 1:沖田


真選組屯所内の道場前には巻き藁が数本立てられてある。それらと一緒に弓を扱う者達の為にも的が立てられてあった。

「…中々うまい事いかねぇなぁ…」

弓術の訓練をしていた土方は眉根を寄せて黒頭をボリボリと掻きむしった。
もう何十本も射ている。的には当たるものの真ん中には当たらずにいた。

「お!珍しいなぁ!弓か?」

近藤が物珍しそうに目を丸くしながら近付いてきた。

「まぁ…」

その姿を見た途端、土方は顔をしかめる。弓をうまく扱えないでいるところを誰にも見られたくなかった。

「どれ!俺が見本を見せてやろう!」
「できるのか?近藤さん」
「あぁ!毎日お妙さんのハートを射止めているからな!!」


――意味が違う上に射てもない


土方はそう思ったが、ここはグッと抑える事にした。

「よぉーし…」

近藤は腕まくりをし、弓を持った。そして構えて狙いを定める。

――ヒュン、と風を突く音と共に矢が放たれた。しかし、矢は的に当たらず、弧を描きながら塀の手前に落ちていく。

「あれ?」
「当たってもねぇじゃねーか」

目を丸くして首を傾げる近藤の隣で土方は鼻で笑った――その時、

「!!」

一本の矢が土方の頬を掠めていった。

――トン、乾いた音が鳴る。その矢は見事、的の中心に命中していた。
二人は目を見開いて後ろを振り返る。そこには亜麻色の少年が弓を片手に口笛を吹いていた。


⇒沖田君が何でもできる子に




- ナノ -