小説 2

4がつ1にち(はれ)9



――あんのクソ女…


一番最初に思ったのがこれだ。

銀時から粗方話を聞いた後、沖田の顔がひきつる。桃色の少女に対する殺意と共に何故この銀色の男は今日がエイプリルフールだということに気付かないのか疑問に思った。

「んで?どう」
「旦那、ちょっと待ってくだせェ」

食ってかかろうとした銀時を沖田はすかさず片手で制す。

「チャイナは‘誰が’腹んだかって言ってやせんよね?‘サドの子’ってだけですよね?」
「あぁ?!神楽以外に一体誰が」
「俺」


――ホーホケ


中庭に向かって土方の刀が飛んだ。うぐいすが空へ飛び立つ。

「またこの期に及んで何を」
「……旦那。忘れちまったんですかィ…?あの夜の事」

沖田は悲しそうに眉尻を下げて銀時を見据えた。

「へ?」
「あぁ…旦那酔っぱらってやしたからね…記憶にねぇのは無理ないか」

沖田はそう言うと溜め息を吐いた。真選組面々は一斉に銀時を見る。

「…万事屋…お前…」
「ちょ!何?!多串君その目!つか普通に考えてみろよ!!男がガキ腹むわけ」
「妊娠できるっていう天人が作った薬を飲みやした。ちゃんとできたみたいですぜィ。旦那」

沖田はニッコリと笑って自分の腹を撫でた。
眉間に深い皺を寄せていた土方は何か言い掛けたが、ふと懐で鳴る携帯電話に気付き、探り始める。
近藤は嬉しそうに二カリと笑い、勢いよく立ち上がった。

「そうか!!総悟が今朝言ってた事は本当だったんだな!!そうかそうか!めでたいなぁ!」

沖田の肩を抱き、豪快に笑う。

「へぇ…ま、まぁ…俺はそんな偏見はしませんよ、うん」

山崎は物珍しそうに沖田の腹を見ていた。


「…だ、そうだ。万事屋」

立ち上がっている銀時に向かって、土方は携帯電話の液晶画面を見ながら呟いた。

「え、ど、どう…ってマジで覚えが…」

銀色の頭を抱えながら唸り声を上げる。
依然、土方は呆れたように目を細めながら携帯電話を見つめていた。





――四月馬鹿





[*前]




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最後は沖田が土方に送ったメールの内容です。
結局土沖、沖神、銀神、銀沖を混ぜたエイプリルフールネタになってしまいました。


こんな小ネタに興味持っていただきありがとうございました!


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