小説 2

‐特別武装警察真選組一番隊隊士‐

二階に一番隊、十番隊。
表口は二番隊。
裏口に四番隊。
急であった為、用心の為に近辺警備を八番隊が廻る。

他の隊は市中見廻りと屯所待機に分かれていた。




裏に土方副長、表は武田隊長が指揮を取る事になった。

「先に一番隊が踏み込んでそのまま二階に駆け上がってね。後から十番隊が上がるわ。たくさんいるらしいわよー、窓が結構大きいからそこから逃げられないように気をつけてね」
「こぼしたらおめぇに後始末頼むわ」
「あらやだ。沖田はそんなヘマしないって分かってるわよ」

武田隊長は口に手を当て、可笑しそうに笑う。

今、俺達一番隊は後藤屋の前にいた。もちろん真ん前にいるわけではなく、建物の陰に隠れ、踏み込む機会を待っている。

「新手が来ても二番隊が二階に上げないようしてくれるから安心してちょーだい」
「新手が来んの?」

沖田隊長が武田隊長を見た。

「そうね、来るならこの建物から」

トントンと真横の壁を叩く。
ここかよ、と俺は思わず隣の倉庫のような建物から一歩離れた。

「ここに武器とか保管してあるらしいのよねー。恐らく人がいるんじゃないかしら。人数までは把握できてないけど、所詮倉庫だからそういないわよ。でも武器を持ってこられると厄介なのよねー」
「おめぇが何とかしろよ」
「ま!何の為に八番隊が彷徨いてると思ってるのかしら」
「じゃあ何の為におめぇがいんの?」

武田隊長を見る沖田隊長の目が実に冷ややかだ。しかし、武田隊長は何食わぬ顔で隊長服の裾をパタパタと揺らしながらフフフと笑う。
彼に策を練らせれば、優秀な策士家、土方副長に引けを取らない程の腕の良さらしいのだが、そのオカマ口調からは微塵も感じられない。

「主謀者が席につきました」

突如、背後から声がし、俺は吃驚して振り返る。
尾崎さんだ。


「さ、適当に暴れてやろうか」

壁にもたれていた沖田隊長が俺達の方を振り向いた。



――いよいよだ。



俺は刀に手を掛け、ゴクリと生唾を飲む。


「よーし、一番隊行くぜィ」


そう言い、沖田隊長が駆けだした。







――ある者は、剣の腕を磨く為に屯所の門を叩いた。


――ある者は、安定した給料を手にする為に屯所の門を叩いた。


――ある者は、助けられた恩を返す為に屯所の門を叩いた。




大柄な者、小柄な者、中肉中背、太った者、痩せた者…

真面目な者、お調子者、大人しい者、落ち着きのない者…


皆、様々な想いを抱き、ここへやってくる。






俺は地を蹴った。
若い隊長の背を追いかける。


「武装警察真選組、御用改めでィ!!」







俺は特別武装警察真選組一番隊隊士。


名前は、


[*前]






これから先、彼が見事討ち入りを果たしたか、それとも討ち死にしたか、

そんな事は知りません。


所詮、名も無い一番隊隊士なんです。



捏造満載の我がサイトの真選組、楽しんで頂けたでしょうか。

改めまして、五万打ありがとうございました!
これからもバカな隊長達共々よろしくお願いします。


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