小説 2

夜叉

下から迫る白刃を叩きつけるなり、横腹を蹴り、バランスを崩したその体を薙ぎ払う。
身を捻り、左方から雄叫びを上げる横鬢を叩きつけ、正面の剣尖を摺り上げて体当たりをし、仰向けに倒れるがら空きの喉に突きをくらわす。

血煙があがる。叩き割った頭から脳漿が噴き出す。腰車を掛けた腹から腸が流れ出て、地にどくろを巻く。

己の腑を掴み、絶命した人の体を踏みつけ、逃げる背に袈裟掛けを見舞わせる。
二つの閃きを捉えると、それらに剣尖を巧みに打ち合わせ、足元にあった壊れた椅子を正面へ蹴りつける。左の敵に逆袈裟を掛け、椅子を叩き落とした敵の顔面をしたたかに打つ。
打ち水のような音を出し、血潮が畳を濡らす。生臭いにおいが濃く広がり、埃が舞い上がる。

気が付くと、周りに敵がいなくなっていた。やたら血の臭いがすると思えば全身返り血で赤黒く染まっている。

地を揺るがすような叫喚と剣戟の金属音が響く。くるりと身を翻し、青白い稲妻が閃く、血の渦へと飛び込んで行った。




誰でも良いので、ただ刀を振り回しているだけの描写を書きたかっただけでした。


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