何が嫌かってクラスが嫌い。勝手にあたしの悪口言って、無視して、それでにやにやしてくるのが、嫌。あたしだけがあたしのことを悪く言えるのよ。あぁ嫌い。どうにかしてハマグリみたいに黙らないかな。頭おかしいんじゃねーの。
でも、でもねでもね、でも、あたしは、あたしには、園原が居るの。園原っていうのは男なんだけど、栗毛でね、色はあたしよりも薄いくらいで。メールはいつも送ってくれる。電話もくれる。嬉しいでしょ?あたしは嬉しい?だからあたしはこんなグズみたいに言われてても平気なの。本当に平気、凄く平気、完全に平気。ねえ、あたし偉いでしょ園原。

最後にわざと肩にぶつかられたら、あたしは97通目の園原へのメールを書いた。今偉いでしょ?そう送ったけどメールは帰ってこない。笑えたからくふ、と笑ってやった。変なの。いつもみたいに、駐輪場の奥の草陰に隠れてあげる。園原はいつも見つけに来てくれる。優しいな園原。ちゅーも、セックスも、なーんにもしてくれないけど、あたしは園原が世界で一番好きなの。だからあたし、こうして待ってるの。園原は部活をやっているから、何時になるのかなー、なかなかなかなかな、か!来てくれないから121通目のメール。あたしはどこ!!園原のどこ!送信。返信こねー。園原に会いたいなー。


「遅くなったな」

がばりと起きると汗の雫を一つ零しながら、園原が立っていた。あー、ああ、園原。138通目のメールは消去だ。会いたかった、会いたくて会い会い会い。

「あたし、偉いでしょ?」

今日も頑張ったの本当に頑張ったの訳のわからない現代文とわかり過ぎてつまらない数学を受けたし隣の松山に笑われたし、でもあたし何も言わなかった。園原はあたしが誰かに反抗するのが嫌なんだって。だから今日も我慢。偉い?

「分かったよ」

手を差し出されて、あーあ女よりも綺麗な手だなって思って、がぶりって噛みつきたくなったけど、口を開けたらやめろっていわれたからやめる。

「なあ、いい加減メール送るのやめてくれないか」
「あたしのこと嫌い?」
「いやそーじゃなくて。何百通も送られたら面倒なんだよ」
「園原の面倒増やすの、好き」

そう言ったら園原は眉を八の字にして、俺以外にそんなこと言うなよ、って頭を殴られた。いってえよ。言わねーしばか。

「手つなご」
「やだ」

そうしてあたしは今日も幸せなのでした。夕方に二人っきりで、何にも誰にも邪魔されないの。あたしは邪魔されたくないの。好きなの、園原。

生きにくい世の中ですけども私は貴方といれば息ができるですけども幸せですけども
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