この前は大好きな園原と行ってきた。アクアリウム別名すいぞっかん。膵臓館?とても良かったかっこよかった。オススメはアシカだ。園原の好きなものはアシカだ。アシカが好きな園原は私が好き?手を繋いだ?望んだものかと?その手が欲しかったのかと。あたしの手をとった園原は、なんだか怖かった。壊されちゃうなって思った。ばきゅーん。ずかんずかん。どごーーーーーん。ははあ、なるほどね。なるなる。そのては私のて。ててて。てってけてぇ。園原多分お腹痛かったんだな。帰るまでお腹押さえてた。下痢だ。ゲイリー。ゲイリー!

ふふ、ってちょっとだけつい出来心であたしのせいじゃないのでも笑っちゃったのあたしのせいじゃないの。廊下から教室入る時ね。クスクス。クスクスクス。男子に笑われる。笑われた。

「キモ」

肝?
まあいいやあたし悪くないもん。あたしのせいじゃないもんねあたしじゃないあたしが悪いんだもん。へーき。全然へーき。好きなものはアシカだ。園原が好きなものはアシカだ。アシカが好きなもの。あたしが一番やなのは松山だ。あと宮沢。松山と宮沢は禍だ。あ、松山だ。こっちに来る。あたしは、嫌なので目を逸らした。ばいばーい視界ばいばーい。

「椎名のおっぱいって小さいね」

肝。
カチンコチン。固まる。あたしは、園原のことを思い出せる。可能ですキャンです。園原はあたしが刃向かうのを嫌がる。あたしが下手に噛み付くのを嫌がる。だから黙る。ほんとは頭の中で言葉がうずうず渦が巻く。やめてよそういうの。そう言いたいけど園原の顔を思い出すと何にも要らない。あたしには言葉の剣も言葉の盾も何にも要らない。園原、そうでしょ?

「お前マジでキモイわ」

そしたら、松山はあたしの持っていた携帯を掴んだ。はじめてだ、こんなの。あたしはこれをどうしたら良いか知らない。無視しか知らない。分からない。見てみよーぜ、って言ってる。中には園原とのメールしか無いけど、良いの?そう思うけど、何にも出来ない。ぼおっと見るね。どうしたら良いのかな。どうしようどうしよう。困ったなあ。

「松山」

松山くん、お呼ばれだよ。あたしは振り返った。あたしノット松山だけど。ほんとだよ。そしたら、ヘラヘラ、ヘラヘラ。

「先生にばれたらやばいって」

その声知ってる。知ってる、去年おんなじクラスの矢野だった。矢野だ。矢野とは楽しい気持ちになれる。矢野は優しい。あと顔が綺麗。あとすげえオタク。ブォカロ。好きらしい。あとジョンプとかマゴジンとか沢山、漫画読んでる。オタクだ。それなのに、お友達が、沢山。ヘラヘラ声。この声知ってる。園原が松山に喋る時とおんなじヘラヘラ。ヘラヘラしてたら生き残れる?さぶぁいばる。ばるるる。松山と矢野はお友達だ。よくバカ騒ぎしてる。でも、あたしとも矢野はバカ騒ぎしてくれる時々。二人はあれこれ喋ってる。いやでもマジでキモくねこいついやいやかわいーじゃん顔おまえ大丈夫かよ危険だないやそんなことないってところで松山彼女元気なのハハハ別れたわマジでーなんでなんでー。何言ってるのか宇宙人みたいだった。あたしには、何言ってるのか分からない。言葉が言葉じゃない。あたしの知らない矢野。人間は大体そうだと思う。自分でない宇宙人を晒して何ヶ国語位かは喋れるようになる。私は喋れない。宇宙人。私は宇宙人になれなかった。私は、真面目に宇宙人には、バカにはなれなかった。交信なんて阿呆らしい。だから私はあたしになった。なったったった。矢野は、あたしを教室に押し込んだ。そして松山との話に花をぱっぱらぱあ。よくわかんなかったあたしは席に座る。座った。昼休み終わっちゃう。あたしの携帯。あたしの携帯は矢野が持ってる。あとで返してもらお。そーしよ。うん。ごめんね園原。今日はあんまりメール出来ないね。園原は松永とどうして交信できるの?なんで世界の人たちは宇宙人になれるの?あたしには出来ないね、園原。


盾と剣もなく、とは言へ言葉も通じぬ異世界人に何ができませうか、否、ただじっと、身をひそめるのみにございます
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