コトノハ。 | ナノ


▼テドリアシドリ。


ナマエside。

ポケモンセンターにチェックインをして、夕食とお風呂後の両親との電話は極めてスムーズに終わった。
初めてのポケモンセンターで緊張したけどどうにかなってよかった。
両親は元々長電話をしない主義というのもあるがここまでスムーズだと逆に怖い。
それは「もしもしお父さん、わたし旅やめてサンヨウのレストランで働くことにするね。」「おう。ポケモンはそのうち返せよ。」という内容だった。

部屋にあるパソコンをいじって、お父さんから借りた3匹のモンスターボールを実家に転送する。
旅はまあ一瞬だったけど楽しかった…かな?
やることも無いのでモンスターボールからバチュルを出して撫でてやる。(他のポケモンはどうもあまり撫でるのに向かないようだ。)
明日は10時には来ればいいとのことなので寝坊しないようにしないと。
今日はやっと疲労がどっぷりきたからもしかしたら爆睡、なんてこともありえるかもしれない。
…バチュル、わたしが9時になっても寝てたら起こしてね。

「それじゃあ今日は早めに寝ますか。」
そう言ってわたしはベッドに飛び込み部屋の電気を消して眠りについた。

次の日はなぜかタブンネのおうふくビンタで目が覚めた。



コーンside。

丁度10時頃に、ナマエはやってきた。

「おはよう…。」

そのナマエはなぜか頬を腫らしていた。

「おはようございます…どうしたのですか?」

「ちょ、ちょっとうん……バチュルに起こしてって頼んだはずなのになぜか朝タブンネにおうふくビンタで起こされて…。」

「ご愁傷様です。」

「…ハイ。」

頬を膨らましているようにも見える姿が小動物みたいだ。
デントがナマエを小動物みたいだと言っていたのも、今なら分かる気がする。
そんな僕も昨日3人の誰が明日ナマエに仕事を教えるかで乱闘をしていたせいか、頬に擦り傷ができている。頬に何かあるのはお互い様だ。

「おーっす!ってナマエ、どうしたその顔。」

今まで準備に夢中だったポッドもナマエを見つけて駆け寄ってきた。犬のようだ。
ナマエがポッドにその理由を伝えるとポッドは腹を抱えて笑い出した。

「バチュル、どうやって起こせばいいか分かんなかったんじゃね?」

「…まあ、そうかも。」
ナマエが同意する。

「おはようございます、ナマエ。その顔とても似合ってますよ。」

デントがにこにこ笑いながら言う。
デントはもしかしたら好きな子にドSになるとかそういう類の人間かもしれない。

「…似合ってないもん……。」

そういってぷーとナマエが今度は本当に頬を膨らませる。

「ああそうだ、ナマエ。」

「ん…?」

「今日は僕が手取り足取り仕事を教えますのでよろしく。」

「……よろしくね…!」

そう言ったナマエの微笑みは僕に効果抜群だった。