▼ショウゲキ。
ナマエside。
今日は定休日。
忙しかった仕事も一段落して、誰も居ないレストランが夢のようだ。
なんでわたしが休みにそんなところに居るのかというと、デントとの待ち合わせの為だ。
つい最近、今日どこかに行かないかと誘われて、
わたしは特にやることもなかったのでほいほいとついて行く事にしたのだ。
「ナマエ。」
そこには普段の仕事着では無く、普段着を着たデントが居た。
イメージ通りの服装でなんというか、
「すてき。」
まあそんな感じ。って、えっ。
「何言ってるの、どうしたの突然。」
声に出てたらしくデントが少し笑った。
「な、なにもない…行こう?」
「うん。着いて来て。」
デントはわたしの手を引いて歩き出した。
歩いているそのうちに腕を組む形となった。
「あのー…コレすごい恥ずかしいんだけど。」
「気にしない気にしない。」
にこやかに微笑むデントだけど、一瞬黒いオーラがやっぱりみえた。なんなんだこれ。
「さあ、着いたよ。」
そこは誰かさんの家の前らしきところだった。
「誰の家なの?ここ。」
「ぼくの家。さ、入って入って。」
デントは拒否権なんて無いというかのように、ぐいぐいとわたしを押していった。
リビングで紅茶を出してもらった。
リビングは広くて紅茶は勿論、おいしかった。さすがデントだとおもう。
「あのさ、ナマエ…話しておきたいことがあるんだけど、いいかな?」
しばらく世間話をしていたところ、急にデントの顔が真剣になった。
「どうしたの?」
どうしたんだろう、解雇とかじゃないといいな。
お前は使えないからクビ!とかありませんように。
そんな想像を粉砕するようにデントが言葉を続けた。
「ぼくと付き合ってほしい。」
「!?」
わたしは思わず緊張をほぐすために口に含んだ紅茶を、噴出しそうになった。
呆然とした表情でデントを見ているとまたデントが言葉を続けた。
「実は、ナマエを初めて見たときからずっと気になってて。ぼくじゃだめ…?」
ここぞとばかりにつらつらと並べた言葉+子犬のような瞳を披露するデント。
「だめじゃないよ!!ぜんぜん!!」
咄嗟に口から飛び出した言葉に、デントはまた黒いオーラを発して不適に笑った。
「え、ちょ、あ…。」
もしかしなくても、今の告白だったの。っていうかわたし騙された?ねえ騙された?
そう思うと急になんか照れくさくなってきた。
「わあナマエ耳真っ赤だよ。」
からかうようにデントが笑う。
「これからよろしくね。」
と言ってデントがぽんとわたしの頭に手のひらを乗っける。
わたしはいまさらどうしようもないけれど、照れくささを隠すために俯きがちに頷いた。