※学ぱろ
コレは一体どういうことでしょう。わたしの背中にめり込む誰かさんの足オンザチェア。つまり椅子が背中にってあいたたたたた、ちょっと痛いです、もっとお願いしますなんて嘘です。骨のほうがもちません。是非とも直ちにやめていただきたい。
「却下。」
「そんなあ。」
わたしの思考をスキャンするスキルを身に付けた今や敵無し略して無敵の素敵な彼はそう呟きました。実を言うと全部口に出してたらしいのですけどね。あらすじと言えば彼に足を引っ掛けられて椅子を投げつけられ背中にクリーンヒット起き上がろうと思ったら椅子の上から彼に踏みつけられ起きれないくらいでしょうか。ぜんぜんあらすじじゃ無いけども、もっと短くするならクラスの隅っこでワンツー程度の短さです。もはやキャッチコピー。
「お前さ、なんで俺の前で呼吸してんの?」
「トウヤ君がわたしの前で呼吸をしてるからです。」
「ふざけんのも大概にしてくれる?すげえ迷惑してんだよ。」
「トウヤ君の息の根が止まったら考えます。」
よっこらせと言って椅子に足乗っけるどころか座って足を組むトウヤ君。やだなあこの椅子足の丸いとこの裏っかわになんかすごい埃ついてるじゃないですか。わたし仮にも潔癖症なんですから配慮してもらわないと。きっとこれもわたしの上でわたしを見下ろしながらにやけてるなうな男子生徒の計算の内なんでしょう。彼はつくづくいやなやつなのでした。
「まあトウヤ君落ち着きましょう。猿みたいですよ。」
「貶すなよ。」
「褒めてるんです。」
「やっぱお前むかつくわー。」
うぜーなんて汚い言葉を二酸化炭素と同時に吐き出しながらもトウヤ君はようやく椅子から降りてくれました。汚い言葉を吐くのになんだかんだ言って言うことを聞いてくれる性格は彼のあまり見つからない、いいところだと思います。わたしは制服についた埃を速やかに払い落としてから、周囲の人々に受けはとっても悪いけどわたしから見ればこの上無くかわいいかわいいお弁当箱をオープンしました。 そう、今はお昼休みなのです。
「今日のおかずはたまご焼きですよ、はいあーん。」
「ん。まずい。」
「そう言いつつ食べてるじゃないですか。」
「うっせ!そんなことよりこの趣味の悪い弁当箱どうにかなんねえの?」
「そんなひどい、かわいいですよ!オタマロじいさまは。」
「セクシーポーズ決めてる顔面オタマロじじいのどこがいいんだか説明しろや。」
「このほんわかした雰囲気がいいんですってば!まったくトウヤ君ったら…。」
「なんかあっさり説明されたー。いや今俺正しいこと言った気がするんだけど。」
「次はプチトマトですよ、あーん。」
「やだ。プチトマト嫌い。」
「もー、わがまま言わないでください。」
しぶしぶプチトマトをわたしのフォークから口で直接もぎ取っていくトウヤ君。 眉を寄せながら延々ともぐもぐを続けるその仕草のなんと愛らしいこと、愛らしいこと。どうにか昼休みが引き伸ばされて120分くらいになりませんか。無理ですよね、分かります。
(なあなあ、あいつら絶対付き合ってるだろ。)(いや違うらしいよ。)
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