「んーあったかいね。」
Nが背伸びをしてくるり、周りを見渡す。
噴水と草木が綺麗でやっぱりここらへんはいい土地なんだと改めて実感した。
「イッシュにずっと居たいなー。」
わたしが言う。
仕事柄、色々な地方を転々とするわたしは久々にイッシュを訪れた。
そして……視線を横にやる。
のんきににこにこと笑っているこの恋人とも久しぶりの再開を果たしたのだ。
「どうしたのナマエ、そんな難しい顔して。」
中世的な大きな瞳がじっとわたしを覗きこんだ。うう、Nの視線がまぶしい。
わたしがまぶしさに耐え切れなくなって横を向く。
「そんなに僕との再会がイヤだった?」
視界の端っこに映るNが眉を下げる。子犬のようだ。
「わんわんお手。」
「ん。」
これで理解出来てしまう彼はやっぱりすごいと思った。
Nがわたしの掌の上に手を重ねる。
そしてそのままわたしの手を包み込んだ。
「!?」
思わずNの方を振り向くと相変わらずNは笑顔を張り付かせたまま、景色を見渡していた。