帝都 元騎士団 ユーリ・ローウェル様

貴方にこうして届かない手紙を書き続けてもう3年になります。
元気にしていますか?
フレンに迷惑かけたりしてませんか?
この前ねフレンと会ったの。
巡礼で私の街にきたから。
ビックリしたよ。
ユーリ騎士団辞めちゃったんだって?
しかもその後は騎士団といざこざが絶えないらしいじゃない。
まあユーリらしいけどね。

3年間も手紙出さなくてゴメンね。
ユーリからは何通も送ってくれたのに…
(でもフレンのほうが断然数が多かったけどね)
怖かったの、この手紙が最後になるんじゃないかって思うと。
いきなりこんなこと言ってビックリするかな?
私に持病があるのは知ってるよね?
それが最近悪化したみたいなの。
お医者様の話だと今年の春までもつかわからないんだって。
だからね、ユーリ…
私、貴方に会いに行きます。
パパもね、許してくれたの。
後悔の無いようにしなさいって
ママは、泣いてた。
親不孝だってことはわかってるの。
でも、私は貴方に会いたい。

だから、貴方に会いに行きます。



「バッカヤロウ…」
「名前…」




この手紙は保険です。
今の私の体力じゃ帝都までたどり着けるかわからないの
だからね、この手紙に私の思いを託すよ。
私ずっとユーリが好きでした。
パパの仕事の都合で帝都を離れてからもずっと。
このことを出来たら死ぬ前に直接伝えたかった。
貴方がこの手紙を読んでるってことは私はきっと死んでるから、
多分私、死んでからもユーリのこと好きだよ。
だからもしかしたらユーリの背後霊になってるかも…
ユーリやフレンと過ごした時間はとても短かったけど、私はとても幸せでした。
本当にありがとう。
そしてさようなら。
ユーリのこと、ずっと忘れないよ

名前



「名前は、どうして…」
「帝都の直前で魔物に襲われたようデアール」
「我々が通りかかったときはすでに…」
「悪かったな、わざわざ届けてもらっちまって」
「名前は、馬鹿だよ…。あの時そう言ってくれれば無理にでもユーリを引っ張っていったのに」
「ああ、本当に救いようのない馬鹿だぜ。言いたいこと言って、勝手に死んで」
「ユーリ!何もそこまで!」
「俺は、どうやってあいつに返事を返してやればいいんだ…」
「…ユーリ」
「俺だって、直接伝えたかったさ…」


「馬鹿名前」


back
-------------------------------------------------------*

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -