なりきり主。ある日の練習中
「そういえば王子とか家来ってなんなの?」
「ん?王子ってのは俺様のことだぜ。んで春歌が家来」
「…ブハッ」
自信満々に言い切った来栖を見て私は吹きだした。
王子…!まさかの自称王子。しかも一人称が俺様!似合わない!恐ろしく似合わない!
ツボに入ったのかしばらく笑いが止まらず、やっと収まったころには息も絶え絶えになってしまった。
「あー、お腹痛い。こんなに笑ったの久しぶり」
「くっそ、馬鹿にしやがって…」
来栖はブスッと頬を膨らませた。普段大人ぶってる癖に変なところで子供っぽいんだから。
「はいはい、拗ねないでくださいね翔ちゃん王子」
「馬鹿にすんじゃねー!」
なでなでと頭をなでると来栖はますますへそを曲げてしまったのか、私の手を払いのけた。
「言っとくけど!俺様と組むからには当然お前も家来なんだからな!」
「はぁ!?なにそれ絶対に嫌!」
遠くから見ている分には楽しいけど、自分も巻き込まれるとなれば話は別だ。王子だの家来だの、恥ずかしくて仕方がない。
「それに私が来栖に仕えるとか…ハッ、あり得ない」
「鼻で笑った!?」
「百歩譲って私に仕えさせてあげてもいいよ?」
「それこそ冗談じゃないっつーの!」
「ほらほら、王女って呼んでごらん」
「うっわ、似合わねー…」
「それ来栖にだけは言われたくない!」
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どっちもどっちですね。
ありがとうございました。