いつもと変わらない朝
ーーチュン、チュンチュンチュン。
あれ?
昨日、何かあったような……。でもなんだったけ、思い出せない。
学舎 赤斗、31歳。本職、学校の教師。記憶力も悪くはないほうだがたったいま、昨日の出来事が思い出せないという状況に陥っている。
「いや、何故あんなとこに倒れていたのかーー」
酒は飲んでたっけ? ……いや、飲んでない。ならなぜだ? しかも倒れていたのは、いつもとは違う帰り道だ。
おかしい。何か、そこだけ真っ白になっている僕の記憶がーー。
そう思いながら登校する。すると、教員室に入るなり校長がすっ飛んでくるのが見えた。
「学舎君、ちょっと」
慌てた様子の校長に学舎が驚く。
「な、何かありました?」
「実は、違法能力者が君のクラスにいたんだよ」
「違法……それ、って?」
「ニュース、見なかったのかい? あぁ。会見まで開かなくちゃならんくなったんだぞ」
ニュース? 会見? は、話についていけない。
「とりあえず、君はこれを読んでくれ」
そこに書かれていたのは『三谷 介人』−−昨日生徒指導をした生徒の名前だった。
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