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なんかその日はむしゃくしゃしていて、俺は赤い色にうずまってた。
体が、心が、ハイになっていた。
周りの景色は全く見えなくて、ただただ、その手の感触だけが大脳に記憶されて、心地がいい。
軍隊用ナイフでグサリ、と一発。振り返って、もう一発。しまいにはよくわからないけどバチバチ、と遠くのやつを襲う。
「……!……!」
相手の苦しそうな表情がさらに彼を調子に乗らせた。
「ほら、お前も殺してやるよ」
女も、男も、……軽く100人ぐらいは殺したんじゃないかな。
俺はその快感に埋もれながら目を閉じた。
なんだか、人生の中で一番楽しい時間だった、そんな気がした。
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