「あーアカン。くらくらするわ」
「風邪なんだから当たり前ですー」
「…なんや、奏冷たいなぁ。」
「私の忠告無視して雨にうたれてたやつなんか知らん」
「……」

私の一言でばつの悪そうな顔をする柔造。だって、せっかく雨が降るよって教えてあげたのにこいつずっと雨の中にいたんだぜ…。何がしたいんだか。あ、風邪ひきたかったのか。バ カ な。

「あー、すぐ止む思ったんやけどなぁ」
「…?何で?」

そう聞くと布団から起き上がり、外を眺める。???何?私エスパーじゃないから口で説明してくれよ柔造さんや。それともあれですか。以心伝心で分かれと?無理。恋人とかでも出来ない人たちだっているようん。あ、父さんと母さんは出来てたな。………。私ホントに2人の血引いてるのか!?

「奏…おーい奏って」
「は!何?」

危ない危ない。ちょっと違う世界にトリップしてたぜ…

「外」
「ん?外?」

ニコニコ笑いながら外を見やる柔造の視線を追う。

「!!ふああああ!虹!すごい!何これ!こんなに綺麗な虹初めて見た!」
「綺麗やろ。この時期の雨だと一番綺麗に見えるんよ」
「…もしかして、これ見せたかったの?」

ちょっとドキドキしながら聞いてみれば

「おん」

とすごくかっこいい顔で言われてしまいました…。
はわわわ。ど、どう返していいか分かんない…。ぐるぐるしてたら頭を撫でられた。撫でてもらうのはすごく好き。父さんみたい。あれ?柔造と私同い年なのにな…。

「なんや急にしおらしくなってどないしたん?」
「な、何でも…」
「ん?」
「う、嬉しかったの…!私、こういうの慣れてないから、恥ずかしい…」

…あれ?何か反応されると思ったけど何もない…?不思議に思って柔造の顔を覗き込んでみる

「アカン!今こっち見たらアカン!」

……目の前には耳まで真っ赤にした恋人がいました。顔隠しても耳隠れてないからね。
何か、拍子抜けして笑ってしまった。

「あー、もう恥ずかしいわ。そないな綺麗な顔で喜ばれて照れん奴なんかおらんやろ」
「大丈夫よ。こんな顔するの柔造の前だけだから」
「……。お前、ホンマ男前やな。」
「それはどうも。でも、素敵なプレゼントをくれた素敵な彼氏には私から看病という名のお礼をしますか!」
「はは。そうしてくれると嬉しなぁ。なんや奏の笑顔と熱で余計クラクラしてきたわ」
「……恥ずかしいことさらっと言わないで」





(あ、消える前に写メ撮っとかなきゃ!)
(なんやよっぽど気に入ったんやな)
(うん。燐と雪にも見せてあげたいから!)
(……)




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