第四話





「シルバー君っ!」

「うわ…!」

ばたーん。
ちょうど同時刻、先程走り去ったコトネが教室に到着し、そのままの勢いで教室にいたシルバーに抱き付く、という−−このクラスでは日常風景であるが−−光景があった。
ただ一つ違うのは、ぶつかる直前に振り向いたにも関わらず、それを支えきれなかったシルバーがコトネと共に床に沈んだ事だろうか。

「どうしたシルバー?」

そしてそれは既に教室にいたゴールドにも勿論目撃出来るわけで。
しかもまさに今シルバーと話していただけに、眼前でその珍事を見せつけられたゴールドは驚いたように目をしばたかせながらシルバーに声をかけた。

「いや、何でも」

言えない、コトネのパンツを見て動揺したなんて。
白状したが最後、主にコトネの隣にいる親友に良いようにからかわれるのがオチだ。
走って来たコトネの短いスカートから一瞬見えたものに未だ心臓がうるさい。
だがシルバーは心中焦りつつもその表情筋を全身全霊を持って引き締めた。

「嘘だぁ。シルバー君があれで倒れるなんてよっぽどの事だもん」

「だよなー。シルバー、お前今日調子悪いんじゃねえ?」

「っ嘘!シルバー君、大丈夫?」

「だから別に何も…………!?」

まくし立てるゴールドとコトネに答えようとするも、その返答はシルバーの喉でせき止められた。
耳まで赤く染め上げたシルバー。
何故か。
答えは簡単だ。コトネがシルバーの額と自分の額をこつん、と合わせたのだ。
鼻と鼻が触れ合う距離に、恋愛方面に免疫のないシルバーがそうなったのは致し方ないと言えよう。
しかもコトネはシルバーの想い人、ついでに言えば初恋の相手だ。
むしろそうならないほうがおかしい。

「ななな、なに、を」

そこまで口に出して、シルバーは視界の端にある物をとらえた。
コトネの顔の下、すなわち首もと、朝走ってきた所為か、少々はだけたその襟の下に見える白いモノはまさか。
その正体に思い至った時、シルバーの脳はそのキャパシティを超え、今度こそ意識を飛ばした。

「し、シルバーくーん!」

「うわあぁちょシルバー、誰か保健室持って来い!!」

陽気な朝に、混乱した声が二重奏を奏でた。











- 5 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -