第三話




またゴールドが一枚上手だった。
小さなため息を吐きながらホームルームに賑わう教室前の廊下を歩くのは、いったいもう何度目だろうか。落ち込み気味の自らの足音だけが、きゅっきゅと耳に響く。
と、思っていたのは一時だけで、いきなりバタバタと忙しい駆け足がグリーンの背後から追い掛けてきた。

(そうか、あいつを忘れてた)

ぱっと頭のすみに浮かんだくせっ毛の後輩に、グリーンの顔は歪む。
しかし遅刻常習犯第2号を放置しておくわけにもいかず、そっと振り向いた。

「生徒会長さぁ〜ん!す、すいませ、ん!今日も間に合いませんでした!!」

あんまりビックリマークが多いものだから、その勢いに若干引いてしまう。
しかしここは生徒会長らしく、と改めて顔をひきしめた。

「コトネ…お前はこりずに毎日毎日…今日はゴールドより遅いぞ」
「げっ!ゴールド君もう来たんですか?!」

うわぁ、と露骨に焦るコトネ。
ゴールドよりも劣る、という事実は少なからず彼女にダメージを与えたらしかった。

「ったく…いいからほら、早く教室行け」
「はい!すいませんっ」

コトネは深々と頭を下げると、一目散に教室へ走りだす。
その短く折られたスカートから、ちらりちらりとのぞいている所謂「見せパン」と呼ばれる下着もどきのせいで、グリーンの頬は赤く染まってしまう。
仕方が無いのだ。一応彼も、年頃の男子高生なのだから。

「……グリーンの…すけべ」
「!?レ、レッド!お前いつの間にっ!」

てっきり自分しかいないと思っていた廊下に、まさかの人物。
レッドはまだ微かに火照っているグリーンの頬を、少しだけもやもやした気持ちでつねったのだった。













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