第二話



「レッド、どうした?」

マサキは目を丸くした。
無表情がトレードマークですと言わんばかりにいつも変化の無い、レッドの目は今は細められ口角は僅かに上がっていた。

「………?」
「だーかーらー!レッド珍しいやん、笑っとるのなんて」
「…僕、笑ってた?」
「気付いて無かったんかい!」

暫し考えるように口に手をあて、次に口を開いてだしたその返答にマサキはツッコミをいれた。
鈍い。そうマサキは思った。
話していて、確かにレッドは(傍目には分かり難いが)楽しそうにしていた。ただ、やっぱりほぼ無表情。

それが窓の下に見える人物を視界に入れた瞬間、レッドは顔を綻ばせたのだ。
もう一度言おう。
普段、楽しくても分かり難い表情、(むしろ無表情だ)しか浮かべない、あのレッドが、だ。

「哀れやなあ…」

マサキは連日片思い記録を更新し続けるウニ頭の生徒会長のことを思い、うっすら同情の涙を浮かべた。

「………?」
「あーはいはい。分からんでいいわ、こっちの話」

でもな。
軽く息をつき、涙を拭い、マサキはレッドの前に人差し指をぴっと突き出した。

「いい加減気付いてやらんと、可哀想やで!」

自分の気持ちにも、他人の気持ちにも。
変なところで鈍い級友へと、マサキは真剣に言葉を紡いだ。
対するレッドはやっぱり良く分からないといった表情で、頭の上にはクエスチョンマークが揺れている。

見留めて、マサキはもう一度、深い深いため息をついた。













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