嗚呼もう、嘘泣きでもしようかな

※白石たちが中二設定



「謙也さんって、どんくらいモテるんですか」

財前の何気ない一言が、全ての元凶やった。実際、告白はされたことあるど、女の子と付き合ったことないし。
…いや、別にホモとかちゃうで。みんな「謙也ってそっち系やったんや…」みたいな眼差し向けるけど断じて違うからな。
…まぁ格好良く言えばテニスが恋人、みたいなもんやな!

「謙也さん、きしょいっすわ」

きしょいって何やねん、きしょいって!人が真面目に答えたのに俺のペアであり、また元凶である財前はきしょいの一言で片付けた。

「でも実際モテてる方やろ?少なくとも俺より告白されてると思うで、こいつ」

小石川の何気ない一言で、告白の話題になった。この学校で一番モテるんはぶっちぎりで白石や。噂によれば、既に百回以上告白されたらしい…とか金色が言うてたけど。まさか、なあ?

「あー、俺か?今日までに百十二回告白されたけど。」
「はぁ!?お前、いちいち数えてるんか!?」

驚いて白石を見れば、平然と「普通やろ」と答えとった。いや、普通ちゃうわ。百十二回告白されたんもスゴいけど、数えてる白石の方がスゴいっちゅー話や。

「で、謙也は?」

俺に話が振られるんも自然な流れやったかもしれん、けど白石の後は無いわ。ほんま無いわ。対比されるんもあるけど、なんか…なぁ?

「二回やけど」
「…え?」
「だから、二回」

嘘やん…と驚く皆の反応に戸惑った。え?二回って、普通ちゃうん?中一の時一回、中二なって一回みたいな。顔を見合わせる一氏と小石川は、気まずそうに俺に告げた。

「俺らでも、告白された回数二桁やで」

…は?いやいやいやいや、冗談きっついわ。一氏とかそれこそ本物やん、毎日小春しか言うてへんやん。

「てか謙也さん以外とモテないんスね」
「……、うっさい」

あかん、俺の心折れかけっつーか、既にズタボロやねんけど。だって、えっ?嘘やん?

「謙也が何で告白されへんか教えたろか?」
「えっ、蔵リン知ってるん〜?」
「知ってるも何も、俺が原因やし」
「は?」

俺だけやなく、その場にいた皆が首をかしげた。白石が原因?え、なにが?白石の言いたいこと全っ然、分からんわ。

「だからな、俺と謙也って常一緒やろ?」
「…それが?」
「お前のファンも、俺に流れるっちゅーわけや」

どや、みたいな表情をする白石に「あー、だからか。」と妙に皆は納得していた。いやいやいや、俺は納得出来ひんねんけど。そんなん可笑しいやん!白石ばっかモテるって、え??

「ま、部長ならしゃーないっスわ」

嗚呼、もう嘘泣きでもしたろかな。


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