気温が日々上昇していく初夏の、ある日。君に出会った。
「あっ、いきなり押しかけてすいません、隣に越してきた者です!これ美味しいものですが食べてくださいー」
童顔の、夏らしく少し日焼けした小柄な君。一言で表すなら、変人。
「不二さーん!!私今なら空を飛べる気がしますっっ」
「やめてね。人に目の前で死なれたらショック大きいから。」
無鉄砲で、何も考えていなさそうで。常に無邪気な笑顔を浮かべる君に、次第に惹かれていった。僕の傷を、癒していった。
「不二さんって顔だけは綺麗ですよね!性格最悪ですけど!」
「クス、喧嘩売ってるの?」
ここまで素を晒けだせる君に、どんどん溢れていく感情。
「私、もう辞めなくちゃならないんです」
そして、時間を共有するうちに見た哀しそうな笑顔。また、好きな子の涙を見なくちゃならないのか。そんなの、もう沢山だ。僕が、君を支える。
「花火、見に行こうか」
もう後悔なんてしない。させない。だから、君は僕の側でただ笑ってて。それだけで良いから。
「好きだよ」
ねえ、愛。やっと見つけたよ、「幸せ」。
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