萌え帳 | ナノ




てんのあめ☆ゆきの
2009/06/13


 
もはや言い訳はすまい(何)

ごめんっ!忘れてました萌え帳!
萌えを吐き出せよゆきの!
おばかゆきの!
豆腐の角で頭ぶつけて救急車で運ばれればいいんだ!
そうなれば多分精神科直行だけど(笑)

いや、本編を書かなきゃって思いつつそうやちゃんと打ち合わせたら、見事にパス付きの話が盛り上がって、萌えはそっちにいきました。

それで終わるとただの記録なので、今回はヒノトの恋話をちょこっと。








【天の雨】

出会いというものは、時に衝撃的で。

時に運命的で。

…時に、日常の延長線。




「俺の事はヒノトって呼べばいいぜ」

「……ヒノト?」

「ああ」

「ふぅん、初めて聞く名ね」


いつもの様に好みの外見の少女を見かけ、声を掛けたのが先刻。


どうやら熊野の人間ではないらしい。
首を傾げた後、何度か名前を繰り返しては、響きを楽しむ少女。

別当家の者は皆、身体の一部に真紅を宿している。
熊野権現の祝福とも言えるだろうその特徴を、知らぬ者はない。

それゆえ以前、別の時空からやって来た現熊野頭領の息子は、わざわざ高名な薬師を頼り紅の髪を染めたのだから。


熊野の者なら子供でも知っている事実。

それを初対面の彼女は知らないのだろうか。
顔に浮かぶのは、初めて知り合った者への警戒と幾許かの好奇心しか見受けられない気がする。


「姫君の名を教えてくれるかい?」

「私の名前?」

「ああ。華みたいなお前の名前を、オレに囁く権利が欲しいな」


ヒノトが顔を近づけ、耳元で囁けば、女は赤面しながら見上げてくるのが普通。
潤んだ瞳をそっと閉じさせて、口付けを送ることだってあるのだ。
たとえ初対面でも、ヒノトに堕ちる。

……けれど、彼女はそれ以前に目を見開いていた。
望んだ反応ではなく、純粋な驚きを宿して。

何故、名を聞かれる事にそれ程驚くのか。
この流れで言えば聞かれるのは当たり前だろう。


「囁いてどうするの?」

「…は?」

「普通に呼んで大丈夫よ?悪いことは何もしてないもの」

「あ、ああ………それなら良かった」


引き攣った返事をそれでも吐き出せたのが、せめてもの幸いだろうか。
手応えを感じる以前に、どうにも次元が違う気がする。

……初めて、苦手に思うかもしれない。

このまま曖昧に会話を終わらせようか、と思ったが。


「うん。心配してくれてありがとう。私の名前はね…」


双子の姉の楚々たるものとはまた違う、ゆるゆると融ける様な笑顔。
ヒノトは耳を済ませた。


「   」


彼女の名を、聞くために。









…って感じで、ぼけぼけーなヒロインです(笑)
私の得意な天然娘だけど、まぁちょっと訳ありにしようかなとかしないでおこうかとか色々考えてます。

以前、そうやちゃんにヒノトがハマりそうなタイプを訊ねたら「一華とは正反対だと思う」って応えてくれたので、ボケた娘を。
ヒノトは彼女にハマります。
今までが嘘のように一途に。流石、熊野別当の血筋(笑)






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