「あ、マサルだ」 「ああ、やっと帰ってきたか」 「ただいまー」 「何だよお前ら、揃いも揃って」 現在元DATSメンバー(クダモンを除く全デジモン達+α)が住んでいる場所へと帰ってきたマサルとそのパートナーのアグモンを出迎えたのは、ほぼ全員だった。 「なんか、いつにもまして遅かったわね」 「まあな!ちょっとボアモンをこう、生け捕りにしようとしたら思いのほか時間かかっちまってな!」 「ちくしょー、捕まえられたら、今日はイノシシ鍋だったのにな、アニキ!」 「あーあ、残念だぜ畜生……」 「イノシシ鍋……」 「デジタルワールド広しと言えども、あのボアモンを捕らえて鍋にしようという者は君くらいしかいないな、マサル」 「んだよガオモン!」 あんまりな言いように、殴りかかるマサル。ガオモンもそれに応じてヒラリヒラリと躱す。ひとしきりじゃれた(?)後、仲裁として「そこまでにしなさいマサル、あなたへのお客さん来てるわよ」とララモンからタオルが投げられた。 「あ?客?」 「アニキに客って……」 また何かやらかしたのかなぁ、とじっと見上げるアグモンに、「なっ、何だよ」と詰まるマサル。脛に傷持つ身としては、その視線が非常に痛い。 「それは見てからのお楽しみー。ホラ早く、待ってるよ!」 ファルコモンにぐいぐい背中を押され、渋々中へと入っていったマサルであった。 狭くはないが広いともいえない広間に、来訪客はいた。 「連れてきたわよ」 椅子に座ってカメモンの給仕を受け、何故かクダモンと話していたその人物はこちらに気づき、顔を上げた。 「やあ、久しぶりだな、マサル」 その声を聞いた瞬間、マサルはつかつかと歩み寄り、 「なんっっっで、テメェがここに居るんだトーマァァァァァァ!!!!」 喧嘩番長ご自慢の右ストレートがその客・トーマの左頬に炸裂した。 「ちょっ、マサル!?」 「アニキ!?」 「ええええ!?」 「…!(汗)」 「…!(汗)」 「マサル一体何を!マスターは君の為に……!」 「待て、ガオモン」 抗議の声を上げ、マサルを諫めようとしたガオモンを止めたのは、ここには居ない筈のクダモンだった。不可解そうな顔をする彼に、「見てみろ」と促す。 ――そこには、拳を握りしめながらぽろぽろ涙を零す、マサルの姿があった。 「…………マサル。」 トーマのその声に身を震わせ、胸倉を掴み上げる。 「何で……何で今頃こんな所に来るんだよ、馬鹿野郎……!!俺の気も知らないで……!!」 「…………すまない」 「…………馬鹿、野郎…………!!」 どうやってもこの世界とあの世界を繋ぐ門は開かず、向こうからごく稀にやって来る映像等もぷっつりと途絶え、もう二度と会えないんだと一人納得しようとした矢先、どうしてこの男はやって来るのか。 とんっ、と力無く目の前の胸を叩きながら顔を埋めた。トーマはそんなマサルの頭を、ただ黙って抱きしめ、撫でる。 「あらら、泣き出しちゃった」 「うるせえ!目にゴミが入っただけだ!」 「と言ってますがどうでしょう」 「しょーがないよ、今まで会えなかったんだし」 「というかデジタルゲートをまた開く事ができたっていうのがすごいよね。イクト、元気かなぁ………」 「…」 「…」 暖かい目で二人を見守るデジモン達。アグモンなどは、泣きながら鼻をずびずびいわせている。 「……っなんで、諦めようとした時にくんだよ、この、トンマぁ……」 「ああ」 「…………でも、会いたかったぜ、この大ばかやろー…………」 「……ああ」 「…………お前の妹、どうなったんだよ……まさか、ほっといてゲートこじ開けようとしてたんじゃねーだろーな……?」 「まさか、リリーナの病気は完全に治ったさ」 「そーかよ…………もしそうしてたら、もっかいぶっ飛ばす所だったぜ……」 「はは、それは勘弁してもらいたいな」 そして顔を見合わせ、にやっと笑い合う。 「そーかよ!」 「でも何で今頃来たんだよ。俺たちが何をやっても、繋がらなかったのに」 イグドラシルもお手上げだっつってたってクレニアムモンも言ってたし。と愚痴るマサルを腕の中に閉じ込めたまま、トーマは微笑んだ。 「どうにかまたデジタルゲートを開けるメドが立ってね、急ピッチで進めたんだ。一刻も早く君に会いたかったっていうのと、後は君の誕生日に間に合わせたかった」 「え、誕生日……」 「あらー、マサル気づいてなかったの?今日は4月2日よ」 「あれっ、そうだったっけ?」 「…………アグモン…………」 「とりあえず僕が先に来たけれど、こちらからもゲートを安定させたら他の人達も来るよ。皆君に会えるのを楽しみにしている」 「え、でもそれってマサルがリアルワールドに行けばいいんじゃ……」 「まあそれもそうだが、マサルの誕生日を祝うのと、自分のパートナーに会いたいって皆言っててね。だからこっちに来る訳さ」 「え、って事はイクトに会えるの?」 「知香にも会えるの?」 「淑乃大丈夫かしら……」 「小百合の卵焼きー!!」 「お前は卵焼きしかねぇのかよ!つか人の母親を呼び捨てにすんな!」 とりあえずごん、とアグモンの頭に拳骨を入れておき、マサルはにかっと笑う。 「ありがとな、トーマ!」 その太陽の様な笑顔に、トーマは顔を赤らめた。 久しぶり、そしておめでとう!オチが尻切れトンボー!戻ってこーい!とりあえず無口な奴らはポーンチェスモンズです。あとはピヨモンとか知香ちゃんが保護してたちびっ子達とかもいます。結構大所帯。 とりあえずデジクロ出演おめでとうも兼ねて、誕生日おめでとう兄貴!本当に尊敬してます。兄貴大好きだよ!あなたが生まれてきてくれた事にマジで感謝! 2012/04/02up |