「あんたは、俺を裏切った」 そう目の前で言い放つ、かつての教え子の暗いアイスブルーの瞳に、吹雪は内心戦慄する。 「…ち、がう…。違うんだ、雪村」 必死に言葉を紡ごうとするが、氷点下の如き冷たい声音で遮られる。 「あんたは白恋を…いや、俺を捨てていった。ああそうだよ、あんたにとって、俺はその程度だったんだろ。 でもな、俺にとっては、あんたは初めて信頼できた人だった。尊敬した人だった。そして、初めて好きだって、そう思えた人だった」 何を言っているんだ。真っ白になった思考の中で、呆然と呟くことしか出来ない吹雪に、雪村はゆっくり歩み寄ってくる。 「あんたがいたから俺は強くなれた。けど、あんたが居なくなってから、俺はもっと強くなった。…どうしてだか、分かりますか?」 バン、と顔の横に手をつき、低い声で問う。本能的な恐怖に震える左腕を掴み、「復讐か」と答えた。 「復讐…ね……。確かにそれもある。俺を裏切って置いていったあんたが憎い。あんたに復讐する為に毎日がむしゃらに練習した。…でも、それが一番の理由じゃない」 その深く濁ったサファイアの目がギラリと光る。それはまるで、彼の名にある獣のように。 「あんたは俺から離れていった。それを知った時絶望した。それと同時に気付いてしまったんですよ……、あんたを、愛してしまった事にね」 「は……?何、言って………」 「またあんたが俺から離れていったり、他の奴の所なんて行ってほしくない。だから、俺はこうする事にした」 そして壁から手を離し、吹雪から離れていく。ある程度距離をとった所で取り出した、一つのボール。 「あんたが憎い。――でもそれ以上に、あんたを愛している」 それを雪村は両の足で思いっきり蹴りつけ、背後に現れる雪豹と共に放つ。 「もう二度と、裏切ろうなんて思わないようにしてやるよ…」 凍てつく冷気と威圧感を放ちながら襲ってくるボールを避けようとするが、後ろは壁。逃げられない。 「…ッ、雪村…!!」 視界が真っ白に染まった瞬間、「…もう、置いていかないでください…。…先、輩……」という泣きそうな声が聞こえた様な気がした。 そしてパンサーブリザードを腹部に食らった吹雪の意識は、そこで途絶えた。 (ああ、やっと手に入れた。俺だけの、先輩…!)26話を見て、ついカッとなってやった。 反省はするが後悔はしない← この後多分雪村は吹雪を拉致監禁してヤっちゃうんでないかと。← ヤンデレ風味目指して見事に挫折。← 2011/11/05完成 2011/11/08up |