※拓→天
※ifホーリーロード優勝、色々捏造
※肝心の天馬君出てこない←



『ついに、遂に相手チームを接戦の末一点差で下し、雷門中、勝利を掴みましたーーっ!!!!』



周りが歓声と、驚愕の声に包まれる。とうとう俺達はやり遂げたのだ。ホーリーロード優勝を、ひいては現在の腐敗したサッカー界を変える革命を。


「神童ーッ!!」


霧野が、何かを叫びながらこちらへと向かってくる。周りを見渡せば、他のチームメイト(あの剣城や狩屋までもが!)や控え、マネージャー達もこちらへと駆けてくる。

「やったな神童!!」

「やりましたねキャプテン!!」

皆が口々に騒ぎ、歓喜の声をあげ、互いに互いを抱きしめ合う中、俺は唯一人、呆然とフィールド上に佇んでいた。


「どうした、神童!」

肩を叩かれ、我に返る。振り向くと、霧野が立っていた。勝てて嬉しくはないのか、と問われ、首を振ってそれは否定するが。

「…………天馬、が」

そう言うと、霧野の表情が、気遣いながらも嬉しげな顔から瞬時に暗いものとなる。

「ああ…そうだったな……」
「あいつと……天馬と共に戦いたかった…!」

かつては管理されたサッカーに屈していた雷門に風を吹き込み、俺達に、サッカーともう一度向き合う機会をくれた後輩。フィフスセクターに抗う俺達の中心。


そして、俺の、最愛の人。


「…それに、この試合、勝つことができたら、……告白しようと思っていたのに、な…」

それなのに、彼は先日、どこかへと消えてしまったのだ。かろうじて『すみません、キャプテン、皆』という書き置きだけは見つかったが、未だに彼は、発見されていない。
しかし雷門は、天馬一人が抜けたからといって、弱くなる様なヤワなチームではない。どこか心に穴が空いた気持ちでここ数日さらに練習してきたが、本番ではその様な事にかかずらっている暇はなく。

「大丈夫さ、天馬は。いなくなったのにもきっと何かしら理由があんだろ」

そう言う霧野に、同感だと頷く狩屋。三国さんは、だから一人でまたくよくよ悩むな、と励ましてくれた。

「よーし、そんなら、今日はパーッとお祝いだなーっ!!」
「待て!空気を読め浜野!!」
「そうですよ!それにお祝いって気が早すぎません!?」
「いや、それもいいな。よし、今回は俺の奢りだ、祝うぞ!」
「ええっ、いいんですか監督ー!?」
「なーに心配すんな速水!いざとなったら鬼道にも払わせるから!」
「いや待て円堂、それは最早お前の奢りとは……」
「細かい事は気にすんな!お前どうせ金持ちだし」
「それとこれとは……!」
「まーとにかく、これから表彰式だな、ほら行くぞ!新雷門イレブン!」
「うわあ監督それ何気に恥ずかしいので止めて下さい!」
「わーい監督の奢りー!」
「浜野くん…」

ワイワイ騒ぐ皆をぼんやりと見ていたら、幼なじみに肩を叩かれ「さ、行こうぜ?」と背中を押し出された。

前方ではチームの皆がこちらを待っている。その中に天馬が居ると錯覚し、泣きそうになるのを堪えた。

「神童、早く来いよー!」

『さあ、キャプテンも行きましょうよ!』

「………天馬……」

ふっと、大好きな人の笑顔が、見えたような気がした。



栄光に潜む君のまぼろし


(ねえ、君は一体どこにいるの?)



ホーリーロード優勝から数週間経った後、かつての仲間とまた戦うはめになるなんて、この時の俺達には思いもよらなかった。




拓天企画『好きで、好きで、』様提出作品。(お題提供:たとえば僕が)
変な電波を 受信しました。
何だこれ。キャプテンの片思い…
実のところ拓→(←)天。そしてさり気なく狩蘭要素入ってたり入ってなかったり。←

ありがとうございました!

2011/10/05up