「あっ、櫂くん!三和くん!」
「おっ、アイチじゃん、こっち来いよ!」
「…アイチ」
近づいてくるアイチに櫂は声をかける。すると「どうしたの?」という顔で寄ってきた。
「…こっちに来い」
「わあっ!?」
アイチが腕を引かれ、強制的に座らされた場所は、櫂の膝の上だった。
「え?……ええっ!?」
一瞬何が起こったのか分からないようだったが、状況を把握すると真っ赤になった。
その隙にガッチリ抱きしめられ、そのせいで我にかえってジタバタ暴れるも逃げ出せない。
「え、あの、ちょっ…櫂くんっ!?」
「大人しくしてろ」
そう言われ、アイチは動くのをやめた。そして櫂の顔を見る。
その視線に気付いた櫂は妙に不機嫌そうな表情で、「お前は目を離すとすぐに転んだりするからな」と言い訳がましく言った。
「とか言いつつホントはただ抱きしめたいだけだったりしてー?」
「うるさいッ!」
からかう三和に噛みつきながらも、抱きしめる手は離さない。どころか、さらに力が強くなった事に気付いて、アイチはさらに赤くなった。


保護という名目のデレ

(イチャつくのは余所でやんな!byミサキ)


2011/08/17up


BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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