聖なる夜の。4それから数年。トウヤはがむしゃらに仕事をこなし、それなりの実績を上げていた。しかし、彼の心は、の日以来何をしても空しいままだった。 そんな彼に、聖夜の奇跡が訪れるまで、もう少し。 やはり今年も、サンタ達は出発の準備に忙しい。ワイワイ騒がしい中、彼らを束ねる、長(元祖サンタさん)がやってきた。 「えーっ、おじーちゃんやって来たよ!?」 「マジで!?」 サンタのほとんどは彼に拾われたりした者達なので、彼を、親しみをこめて「おじいちゃん」と呼ぶ者が多いのだ。ちなみにトウヤも、彼に拾われた者の一人である。 「皆頑張っておるな。あと一時間もしたら出発じゃから、今年もよろしく頼むぞ。」 「おー」などという返事を満足そうに聞き、それから「ところで、トウヤはおるかな?」と尋ねた。 「え、俺!?…な、何ですか…?」 「少し話がある。おいで。」 そう言って歩き始めた長の後を、トウヤは首をかしげながらついて行った。 「さて、荷物を届けるにあたって、君にひとつ頼みがある。」 ある小部屋に入り、椅子を勧められて腰かけたところで、向こうから切り出してきた。 「な、何でしょうか…?」 一体何を頼まれるのか気が気でない。 「なぁに、簡単なことじゃ。そう身構えんでもええぞ。」 そして懐から包みを取り出し、説明した。 「こいつをな、全ての配達が終わってからある子供の元へ届けて欲しいのじゃ。宛名は書いてはおらんが、メブキジカ達が場所を知っておる。」 そう言って手渡された包みを見ても、確かに普通添付されているはずの宛名がない。 「これを、ですね。分かりました。でも、誰宛なんですか?」 そう尋ねると長は微笑して、「それは、その時が来たら分かるじゃろう。」と答えた。そして優しくトウヤの額をトン、と突く。 「え、これは?」 「幸運のまじないじゃ。君の仕事が、上手くいく様にとな。」 触れられた場所から、じんわりと温かさが広がっていく気がして、緊張がほどけていく。 「……ありがとうございました!」 トウヤは一礼し、メブキジカ達の待つ厩舎へと走り去った。 「……例の秘術は解いた。後は、気持ちの問題じゃろうなあ…」 意味深な言葉を残し、長も立ち上がって、配下のサンタ達を手伝うべく部屋を出て行った。 (まあ、どんな子供宛だろうがきちんと届けるのが、俺達サンタの心意気ってもんだよな!)なんかトウヤ君仕事人(笑)そして文章が段々カオスになってゆく…(泣) |