2 「っ、だああああ一体どこなんだよ家はあぁぁぁっ!!」 「ちょっ、声大きいって!」 「うるせぇよ拓人!」 怒鳴ると途端に涙目になる拓人。それを見た典人は、バツが悪そうな顔になった。 「…泣くなよ」 「う、うん…」 それでもまだ鼻をずびずびいわす拓人の手を掴み、歩き出す。 「…悪かった、な。俺のせいで道に迷っちまって…」 「…いや、典人は悪くないよ…しょうがないだろ、火竜なんだから」 「…まあな……」 そうなのだ。火竜は、徹底的に方向感覚がない。だから、誰かと一緒でなければ、森の中に一歩でも踏み出した途端すぐに迷ってしまう。(ちなみに森の中でなくとも結構迷う) 火竜である典人も例外ではない。 「お前、光竜だろ。家の方向とか分かんねぇの?」 「…う、うん…なんか遠く離れすぎちゃって、今の俺の力じゃちょっと…」 「ああああやっぱ蘭丸に着いて来てもらえりゃ良かったじゃねぇか!!」 うわああ、と頭をかきむしる。その横では拓人がまたもや涙目だ。 と、そこに近づく、影。 「……あれ?天馬くんちの子達じゃないか。どうしたの、こんな所で」 バッと振り向いた視線の先には、赤い髪をした青年がいた。 日記より再録その2。倉間さんは火竜で、キャプテンは光竜で末っ子。これほど闇が似合う光竜もいまい。← おつかいの途中で道に迷った二人。出てきたのは変態…もといヒロト。← |