memo
天界鴉。 


▼ミニマムくらまさん。そのさん
2012/07/05 23:19

「倉間先輩……もしよかったら、うちに来ませんか?」
「…………は?」

勇気を出して言ってみたら、先輩は途端に凄い顔になった。

「いえ、あの……その姿だったら、色々大変だろうなあって、例えばご飯とか」
「…………まあな…………」

いかにも今気づきましたって顔だ。倉間先輩って他の人の事にはけっこう敏感なのに、自分の事にはわりと無頓着だからなあ。

「あっでも、先輩のご両親がいるんなら……」
「いや、今日はどっちもいねえから大丈夫だ」
「えっそうなんですか」
「つうか丸々一週間居ねえんだよ、なんでも新婚旅行だ何だで」
「わあ、なんていうか、すごいラブラブですね!」
「……言うな、こっちが凄く恥ずかしいから」

全くいい年して年中いちゃつきやがってあの親父……とかブツブツ呟いているけれど、まんざらでもないみたい?とりあえず今日は倉間先輩とお泊まりだ!

「うわ、おいヤメロ、猫みたいにつまんで運ぶなああああああああああっ!!!!」




「倉間先輩、ご飯ですよー」

とりあえず先輩のこんな姿、例え秋姉にだって見られる訳にはいかないから、特別に部屋で食べれるようにしてもらった。トレイを置いて先輩を探すけど、見当たらない。

「おい、こっちだ!早く助けてくれ!」

わっバカんなとこくわえんな!つか放せええええ!なんて叫び声がしてそっちの方に顔を向けると、案の定先輩が…………サスケにくわえられていた。ていうかサスケ、いたんだ。

「…………サスケ、それよこしなさい。食べてもおいしくないよ」
「仮にも自分の恋人を食い物扱いすんじゃねえええええ!!!!」
「いえ、これは言葉のあやってやつで……」
「ああもうごちゃごちゃ言ってねえで助けろ馬鹿!」




「…………災難でしたね」
「ああ、全くだ。具体的には誰かさんに食い物扱いされた事とかな」
「だからそれはすみませんって!」

しつこいですよお、ふえええとちょっと泣いてみるも、先輩は無情にも取り合ってくれず、「おい、早くそれくれ」なんて言うから持ってきたスプーンの上にご飯とおかず(ハンバーグだ)を載せて差し出す。そのままあーん的なかんじで食べればいいのに、先輩はわざわざ両手で持って食べてる。か、かわいい……

「可愛い言うな!!」
「えっ口に出てました?」
「丸聞こえだバカ!」

そっぽ向いちゃったけど、それでも顔赤いの、隠せてないですよ、先輩。




秋姉がホットミルクを持ってきてくれた。

「うー、まだあつい……お風呂入ってから飲もう!」
「いや普通は冷たい牛乳だろ」
「いえ寝る前にあったかいミルク飲めばよく眠れるんですよ俺!背も伸びるし!」

そう言ったらピクッと反応する倉間先輩。

「…………よし分かった」
「ってちょ、なんで服脱ぎ始めているんですか」
「決まってんだろ、風呂だ、風呂」
「ちょ、それ俺のホットミルクですよ!?飲み物だし止めて下さいよ!」
「別にいいじゃねえか」
「いやダメですから!ちょっと先輩背が伸びるってとこで目が眩んでるでしょ!!」
「バッ、ちげえよんなこと一ミリたりとも考えてなんか」
「じゃあなんで目をらんらんと光らせてんですか!?」


なんとかして先輩の入浴in俺のホットミルクを阻止し、風呂場へと向かう。湯船だと今の倉間先輩のサイズじゃ、絶対溺れる……よね……

「じゃあ倉間先輩、この桶の中に浸かって下さい」
「ああ分かった……って何だその手は」
「え、先輩を洗おうと……」
「自分でやれるわバカ!」

でもそんな大きさじゃ石鹸とか体流す時とか絶対大変だから、無理やり洗っちゃおう。最初は抵抗されたけど、次第に大人しくなりました。

「流しますよー?」
「…………おう」


「湯加減は大丈夫ですかー?」
「おー、大丈夫だ」

かぽーんと響く、俺と先輩の声。偶然なのか、今風呂場には俺たちしかいない。倉間先輩、よっぽど気持ちいいのかふんふん鼻歌まで歌ってる。しかも何気に上手い。でもどっかで聞いたことあるような……

「…………倉間せんぱいー……」
「あんだよ」
「……こっち、来ません?」
「はあ?」

とりあえず倉間先輩を掴む。じたばた暴れてるけどとりあえず湯船の中に入れてみた。

「ちょ、おま、バカか!んなとこだと俺、溺れ……!ゴボッ!?」
「先輩ー!」




とりあえずあの後俺の肩に避難させた倉間先輩は、溺れたというよりものぼせてへたっていた。今一生懸命扇いで冷やしてる。

「…………お前なあ…………」
「ご、ごめんなさいってば!」

地の底から這うような声で言われても、正直今の大きさでは怖くもなんともない。今は、秋姉から貰ってきた人形用の服をパジャマ代わりに、これまた人形用のコップでポカリを飲んでいる。

「先輩、寝る場所どうしましょう…………」
「あー……まあ、ハンカチでもなんでも貸してくれりゃ寝れるけど……」
「そっ、それはダメです!」
「じゃあどうしろってんだよ」
「うーんと、うーん……とりあえず一緒に寝ましょう!ほら!」
「はあ!?いやいや待て待てそれ無理があるだろ俺押し潰される」
「俺の枕元で寝れば大丈夫です!」
「あっそう……」

もう何も言うまい、って顔してたけどまあいいか、ってことで、先輩をベッドへと移して電気を消した。

「ふふっ」
「?何だよ」
「いえ、一緒に寝るのって、初めてですよね!」
「…あー、まあな」
「…………倉間さん、大好きですよっ」
「………………〜ッ、恥ずかしいこと言うな!俺は寝る!おやすみ!」

思った事を口にしてみたら、恥ずかしかったのかガバッと向こうを向いてしまった。でも月明かりできらきらひかる水色の髪の毛から覗く耳は真っ赤だし、何より繋いだ(というか俺の指を先輩が掴んだ)手を振りほどかないから。俺はそれが、倉間さんなりの照れ隠しと精いっぱいの気持ちだって分かってるから。
心があったかくて、幸せな気持ちの中で、目を閉じた。









倉間先輩が歌ってた鼻歌はあれです、ナマアシミワクノマーメイドオオオオオオオオオオ!!!!です。←
あ、あと人形用パジャマのサイズは某シル○ニア家族をイメージして下さい←

おそらく次で完結するはずです。次回はいよいよあの人が……!?




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