2012/05/20 13:22
「ああそうだよわりぃかこの野郎!」
俺、寝ぼけているんでしょうか。いやいや頬が痛いから夢のハズじゃない。
でも、だったら何で、倉間先輩が、俺の手の上にいるんだろう。
「…………どうしてこんな事に」
「そんな事俺が知りてぇよ!いきなりこうなったんだ!」
倉間先輩、取り乱して若干キレ気味です。
「と、とりあえず落ち着きましょう!ほら、怒ってもどうにもなりませんよ!」
「これが落ち着いていられるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ちっちゃくなっちゃった倉間先輩は、俺の手のひらの上で地団駄を踏んでいる。かわいい、けど、地味に痛いです。
「あれ、天馬だ!どうしたのー?」
すると、遠くから信助の声が聞こえてきて、思わず肩が跳ねた。倉間先輩は「おい、早く俺を隠してくれ!」と凄く焦った声で言ってきているけど、何で?
「どうしてですか?」
「んなもん決まってんだろ、こんな姿、恥ずかしくて知り合いに見せらんねぇだろうが!!」
倉間先輩は、自分の背にコンプレックスを持っているから、その理由にも納得できるけど、でも、
「なんか、もったいないです……」
「は?何でだよ」
「だって、こんなにちっちゃくてかわいいのに!」
「かわっ……!?ちょ、おま、バカか!?お前の頭はその髪型みたいにクルクルパーなのか!?」
「クルクルっ……!?ひ、ひどいです!!」
「ああもういいから早くどっかに隠してくれ!!」
「はい……」
ほんとにもったいないのに…とりあえず言われた通りに制服のポケットに先輩を入れた。そのすぐ後に信助が「天馬ー!何してるの、早く部活に行こー!」と飛びついてきた。倉間先輩にしたら間一髪のタイミング(?)だったと思う。
「うん、行くよ!あ、剣城達は?」
「もう先行っちゃったよ、剣城だけはそこで待ってるけど」
「えっホント、早く行かなきゃ!」
まだポケットに入れっぱなしだった右手から、ぎゅっと小さく掴まれた感触がした。
倉間さんがちっちゃくなっちゃいました。試作品です。まだまだ続くよ!