memo
天界鴉。 


▼イナクロ見たけど、
2012/05/09 20:44

「優一さん、具合はどうですか?」
「ああ、大丈夫だよ。リハビリも順調だしね」
「そうですか……」

天馬は優一の見舞いに来ていた。剣城に無理やりくっついてきた形になるが。
その剣城はというと、現在は飲み物を買いに行って今はいない。

「しかし、まさかまた京介とサッカーができたなんてねぇ。今でもあれは夢だったんじゃないかって思うよ」

実際、あの出来事はパラレルワールド内で起こった事なのだから、あながち間違いではないのだろう。しかし、この体が覚えている。走れば否応なく高まる鼓動、芝生や汗の匂い、強敵と向かい合った時の、あの高揚感。
そして何より、弟である京介(のオーラ)と、あの不思議な機械で一体化した時のあの感覚が、あれは夢などではないのだと自分に訴えている。
後悔は、していないといったら嘘になる。例え偽りの世界でも、この足が再び動き、ボールを蹴れる事がどれだけ嬉しかったか。出来ることなら、ずっと。
しかし、それは京介から奪った、偽りの自由だ。弟を、何よりサッカーが好きなあいつを犠牲にしてまで、ボールを蹴りたいとは思わない。どんな理由であれ、自分が関わっているなら尚更だ。

「……そうです、か……。優一さんがそう思って、納得しているんなら、俺はもう何も言う資格はないんですけど、やっぱりどうしても思うんです。あのままだったなら、二人とも一緒にサッカー出来たんじゃないのかな、って。剣城の説得に時間はかかるんだろうけど」
「ふふっ、天馬くんは本当に優しいね。確かにそうかもしれないけれど、本来のあるべき時間ではないんだろう?それに俺は、確かに京介とサッカーをしたいと言ったけど、あいつの居場所を奪ってまでやろうとは思わない」
「でも……」
「いいんだ。これが、俺の決めた道だから」

それにもう、願いの一つは叶ったし。後はこの足を治して、また天馬君や、皆と一緒にサッカーしたいな。
そう、優一に微笑みながら言われ、天馬は何も言葉を返せずに、ただ俯く事しかできなかった。



「…………天馬」
「…………なに、剣城」
「…………、泣くなよ」
「…………うるさい、なあ。関係ないでしょ、剣城には」
「ああ、そうだな。はっきり言って、兄さんとお前が何を話していたのかさっぱり分からなかった。けどな、お前が兄さんの為に頑張って、そんで後悔してるって事くらい俺にも分かるぞ」

だからもう、泣くな。お前は間違っちゃいねえよ。そう言った剣城に、驚いた様に顔を上げ、天馬は赤くなった目で彼をじっと見つめる。

「でもおれ、俺、は、」
「ああもう、何も言うな。無理に話そうとしなくていい。ただ、お前が話したくなった時に話してくれればいいから。何があったかは分かんねぇけど、兄さんも、そんで俺も、お前に感謝してるよ」

そうして抱きしめ、ぽん、と頭を優しく撫でる剣城の手に、優一の前ではこらえていた涙がぽろぽろと零れていった。




イナクロ4話にほげあああとなった結果。この後京介は、天馬から兄さんと一緒にサッカーした話やもろもろを聞いて、「ああああ何故断ったんだあの時の俺ぇぇぇぇぇ馬鹿ぁぁぁぁぁ」とかもだもだしていたらいいと思う。←




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