短編 | ナノ





丸井ブン太

はぁー、つまんないなぁ。

今は、丁度二時間目が終わった後。
しかも、今日は珍しく私の彼氏丸井ブン太が風邪でお休みなのです。

なので、からかう相手がいないわけです……。
あっ、お見舞いに行けばいいんだ!

じゃあ、早速行こう。


『えみ、私今日は早退するからセンセーに言っといてくれる?』
と私が隣の席の親友のえみに言った。


「オッケー♪りこ、どこか具合悪いの?」
とえみが心配そうな顔で言ってきた。


『いや、ブン太のお見舞いに行くだけだよ』


「あんたら、ラブラブだね」
えみが羨ましそうに言ってきたからなんとなく照れてしまった。

『へへん、いいでしょ。じゃあね』
と私は鞄を持って教室を出た。


ブン太の家は学校から電車に乗って15分位したら着くからまあまあ近い方だ。

ブン太の家についてインターホンを鳴らしたが誰も出て来なかった。
玄関を調べたらちょうどよくカギが空いてたのでお邪魔されてもらいことにした。


廊下を進んでリビングのソファーにブン太が寝転がってたので心配だから駆け寄ってみた。


『ブン太大丈夫?お見舞いに来たよ』


「りこか」
ブン太の虚ろの瞳がこっちを向いた。
どうやら熱もあるそうだ。

私はブン太にさっきスーパーで買ってきた冷却シートを貼って薬を飲ませようとしたが飲んでくれなかったので口移しで飲ませることにした。
どうせ、熱で記憶なんて吹っ飛んじゃうしね!

口に薬の錠剤とアクエリアスを含んでブン太の唇に口付けた。

『…んっ………っ』

「……んっ…」
こぼれ落ちたアクエリアスがつーとブン太の頬を伝った。


『んっ……ハァハァ』
私はブン太が薬を飲んでくれたのを確認したらキッチンを借りてお粥を作った。


作ったお粥をブン太が寝ているベッドに持っていった。薬のお陰でよくなっているみたいだ。お粥をベッドの隣にあるサイドテーブルに置いてブン太に話し掛けたら返事が聞こえたので私はお粥の器を持ってスプーンで掬って少し冷ましてからブン太に食べさせた。それを何度か繰り返していくとお粥は空っぽになったので器をまたサイドテーブルに置いてブン太の熱を測った。


『37.1かまあまあ下がってきてるのかな』
時計を見たらもう4時近くなっていた。そろそろ帰ろうかな。とりあえずお粥の器とスプーンをキッチンで洗って身支度を済ませてブン太に帰るねって声を掛けたら、急に腕を捕まれてベッドに引きずり込まれた。


『ちょっと、ブン太!!』
何がなんだか分からなくなってきた。今の状況を理解すると私はブン太にがっしりと抱き着かれていた身動きが取れなかった。


「明日になるまでこうして添い寝しててよ」
熱のせいかブン太に色気があるように見えてくらくらしてきた。


『うん、分かった』
ブン太は今は病人だし仕方なく添い寝する事にした。


私たちは抱き合う形で一夜を共にした。



2011年2月5日

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