短編 | ナノ





跡部景吾

くそこれで35回目だぞ。早くチョコを作らないとバレンタインデーになってしまうではないか!どうして上手く出来ないのだ?ただチョコを溶かして隠し味を溶かしたチョコの中に淹れて混ぜて固まらして型に淹れるだけだぞ。なのに何故こんな変な味になる!こんな物景吾に渡せられない。チョコはベルギーから取り寄せた高級チョコを使って、隠し味の唐辛子はわざわざ原産地から取り寄せてるのに何故だ何故なんだ!


ええい、こうなったらもうこれでいいや!料理なんて愛さえつまってればいいんだよ!


次の日私は景吾の教室に行った。

『これバレンタインのチョコ一生懸命作ったの味わって食べてね』
景吾にチョコを渡せば仰天してこの世の者じゃないものを見ている表情をしていた。



「こっ、これりこが作ったのか?お前こういうの作んないんじゃなかったけ?」
ああ、それで驚いてるんだ!確か作らないって私言ったんだっけ。


『今日は特別。ねえ、味は保証出来ないから』
こう言っといた方が後で楽だ。食べてから景吾が倒れたら大変だし。


「そうか、まあ、いい。食べるぞ」
景吾は綺麗にリボンを解いて、綺麗に包装紙を取った。その作業は絵になるほど
美しかった。


『食べない方がいいと思うんだけどな…』

「彼女が作ったものを食べないでどうするんだよ。じゃあ、食べるぞ」
パクッと景吾が一粒チョコを食べた。そしたら顔を歪めて眉間に皺を寄せた。


「おいっ、りここん中に何を淹れたんだ?」
今にも怒りだしそうな勢いで景吾が言うから身が縮みそうだ。

『隠し味に唐辛子を淹れてみました』


「俺はお前の実験用のモルモットじゃないんだ!隠し味なんて淹れるな!」
実験用のモルモットってそんなに辛かったのかな?


『そんなに辛かった?私が食べたときは普通だったけど』


「アーン、お前は味覚が可笑しいんじゃないのか?」
おいおいっ!景吾くんよ彼女に向かってそれはないだろ。
景吾は私の口の中にチョコを一粒淹れた。特に問題はなく普通の味がした。だが、焦げたような味が少しした。
この焦げたような味は35も作り直してもどうにもならないのでこの味だけは無かったことにした。


『普通だったよ?景吾の味覚が可笑しいんじゃない?』


「お前、まさか味音痴なのかよ!」
味音痴って私がなの?
うーん、でも、少し心当たりがあるような気がする。



『そうかもね。でもあまり自覚がないな!私って味音痴だったんだね』
今までなんにも考えないで唐辛子や七味をいろんなものに振りかけてたからな実感なかったのかな。



「まあ、形は不気味だったけど唐辛子さえなければ最高だぜこのチョコ」
と言いながらもう一粒辛いはずのチョコを食べる景吾。


『そっか、なら来年からは唐辛子は入れないよ!』


「それとチョコを作るのがめんどくさいのなら、お前がバレンタインのプレゼントでいいんだぜ!」
えっ、それって…。



『…景吾。帰りに景吾の家に行きたい。…チョコは失敗しちゃったから景吾に私をあげる』



「ふーん、可愛いこと言ってくれるじゃねえか」
景吾は教室にも関わらず私を抱き寄せてキスをしてきた。
あらら、女の子たちが悲鳴をあげてるよ。


最初は触れるだけだったが段々口の中に舌をいれて歯列をなぞって舌と舌を絡み合わせた。


『…んっ……ふっ……』
段々息苦しくなってきたので景吾の胸板をトントン叩いた。


「お前まだ息の吸いかたを覚えてないのか。まあ、いい。今すぐ帰って続きをするぞ!」
景吾は自分の荷物を持って教室から出ていってしまった。
すたすたと私の先を歩いて私の教室に入って私の荷物を持ってまた歩きだした景吾。


本気で帰る気なんだ。部活とかいいのかな、あと生徒会の方は?そんな事を考えていたら正門に着いてそこにはもうすでに景吾ところの車があった。用意周到だな。


『本気で帰るの?』



「当たり前だろ。帰って続きをするぞ」


そんなこんなで私は景吾に次の日の朝までヤられた。
次の日には
腰がヤバイほど痛かった。


2011年2月10日

[ 6/13 ]

*prev next#