親愛 | ナノ





微かな絆

幸村が入院してから数日たった。
お見舞いに行こうかと思ったがなかなか忙しくて行けなかった。
放課後隙を見て行こうと思ったが柳に何度も分かってしまった。
つか、何で私のやろうとしてる事が分かったんだろ?
まさか、エスパー!!なっ、わけないよね。流石にさ…

他の考えもあった。授業中に学校から脱け出して行ったが病院に着いてからクソオヤジに見つかって学校に連れ戻される。



『と言うことでまっ、マサ。一緒に病院行こ?』



「話が分からんナリ。疲れてるのなら寝た方がいいぜよ」
頭大丈夫か的な視線が私に投げ掛けられた。
あっ、言っとくけど私は至って正常です。


『かっ、彼氏なんだから何も言わずに私と一緒に行けばいいのっ!』
ああ、やっぱり彼氏って言うのまだ恥ずかしい。
マサと付き合って数日経ってるのに私はまだ慣れないでいた。



「仕方ないナリ。今回だけじゃき!」
観念した様にマサが言った。


『やった!マサ大好き!』
嬉しいせいかマサの頬にキスしてた。



「おー、そうか、そうか。にしてもお前さんからキスしてきたなんてなー」
ニヤニヤしながら私の事を見つめていた。


「う、煩いな!別にいいじゃん!」


それから、マサと二人で幸村が入院している病院に行った。
クソオヤジには、会いたくないから見付からないようにしないとね!



『ねぇ、マサ。幸村の病室どこ?って居ないじゃないか!?』
マサに幸村の病室がどこにあるのかを聞こうとして後ろを振り返ったら後ろにマサが居なかった。
つか、私迷子じゃん!どうしよ?この病院立海並に広いから一度迷子になると大変そうだな。
近くに誰かいないかな看護婦さんとかいないの?
でも、迷子になりましたって言うのもな、何かに負けた気がする。
さて、これからどうしよ?手当たり次第探していくしかなさそうだな。

―――――――――
華恋Side


私は今ユッキーの病室の前にいる。
入ろうか迷っていたが覚悟を決めて入る事にした。



「こんにちは。ユッキーありがたいと思いなさいよ?この私があんたなんかのお見舞いに来てやったんだからさぁ!」
中にはユッキーの見舞いに来てたのであろうかR陣がいた。
ユッキーの顔を見てみたら予想通りの顔だった。
やっぱ、こうじゃなきゃね!

「レンどうして君がここにいるんだ?君確か俺が死んだ時にしか見舞いに来ないんじゃない」

「何のことかしらね?私はそんなこと言った覚えないわよ?」
確かにそう言ったが惚けておいた。



「君ってさ嫌な性格してるよね。この黒髪パッつん」



「っち……そういうあんたは腹黒いわね!さっさとくたばってくれない?」



「腹黒?腹黒は君の方じゃない?俺の邪魔を昔からよくしてくれたよね」
てめえにいわれたかねよ!
こいつの方が断然腹黒いだろ!



「そんでさ、今日は何しにここに来たの?まさかと思うけど俺の事殺しに来たの?」



「はあぁ、誰がてめえを殺すために手を汚すかってぇの!!今日はてめえに聞きたいことがあったから来たに決まってんじゃん!」
ぶっ殺したいけど手が汚れるからしたくないんだよね。
それにこいつに聞きたいことがあったからまだ殺せない。
つか、こいつのせいで本性曝しちゃった。
まあ、いつまでも猫被ってるのって疲れるからいいんだけど。


「ほう、やっと本性を曝したと思ったらお前がこんな性格とはな」
柳のやつ私が猫被ってたの分かってたみたいね。
本当食えない男ね。



「そう言う貴方は人を観る目があるようね」
こいつなら何かアイツの事知っているかもしれないわね。



「一つ言っとくが俺は堀内の事は何にも知らないぞ。調べようにも調べられない」
ちっ、私が喋るより先に柳が喋ったら思っ
た通りの言葉が出てきた。


「やっぱしか、あいつって一体何者なんだろう?璃琥の事を異常なくらい憎んでるしさ」
理央が璃琥の事を憎しみを含めた目で見ているのはずっと前からだった。
時折璃琥に見せるあの悲しげな表情には何か意味があるはずだ。
私はその意味が知りたかったが二人はその事を一言も喋らない。
ならば自分で調べるのみだ!
たとえ、それが誰かを傷つける結果になったとしても知らなくてはいけない。
じゃないとあの子を救えない。



「ふむ、俺もずっと気になってたことだ。いいだろう。調べよう!」
さすが柳!やっぱりこういう仕事は柳にしか出来ないしね。



「ありがとう。はい、これ。このディスクを使えば多少のブロックは崩せるわ」
柳にブロックが崩せるディスクを渡した。


「ありがとう。だが、こんなものどこで手にいれたんだ?」
そりゃ知りたくなるよね。このディスクをどこで手にいれたのかをね。


「ああ、企業秘密だから。それより、ユッキー。あの子あんたの見舞いに来た?」
喋ったら面白くないし、つまんないじゃん。
ディスクの事は置いとくとして、私はあの子がユッキーの見舞いに来たのか気になるのよね。

そもそも私は最近あの子を見てない気がする。
最後に見たのはお仕事の時だったな。


「いや、来てないけど」
来てないって事はあの子行かないつもりなのかしら?
それとも、ユッキーに興味がなくなったの?



「ふーん、そうなんだ。そうだユッキーこれを、あの子が来たら渡してね。じゃあね」
ユッキーに一通の手紙を渡した。
この手紙を読んだらあの子泣くかな?ましてやこの時期にあの子を一人に出来ないけどこれは仕方ないことね。


「あっ、柳。理央の事何か分かったらここに連絡して」
柳に私の連絡先を書いた紙を渡した。
それから、私は病室を後にした

――――――――――
璃琥Side


あれって、華恋?どうしてこの病院に居るの?
それに、あそこは幸村の病室だよね。
もしかして、華恋は幸村のこと好きなのかな。そうだとしたら私は諦めた方がいいかも。


『あっ、マサ。それに理央』
向こうからマサと理央が来た。


「こんなとこに居たんかお前さん。探したナリ」
どうやらマサは幸村の病室に行かずに私の事を探してくれたらしい。



「璃琥の方向音痴も宇宙一だよね」
私の方向音痴ってそんなに酷いのかな?
つか、宇宙一はないでしょ。


『別に探さなくてよかったし。寂しくなんかないもん』
こういう時何で私は素直にありがとうって言えないんだろう。
本当は寂しいんだ。一人になったらお祖父様の事を思い出しちゃうから、一人にはなりたくない。
私には素直さが欠けてるのかも。


「はいはい、本当は寂しかったでしょ?だって璃琥は寂しがりやだからさ!」
理央には私の事分かってもらえるから楽だって思える。
いつも私が悲しいとき必ず側に居てくれるのは理央だったな。

私きっと理央に裏切られたら立ち直れないかも。華恋もだけど理央は私にとっては特別な存在なんだ。

じゃあ、幸村はどうなんだろう?
幸村とはかなり長い付き合いな気がする。
幸村は私の事どう思ってんだろう?昔かなり傷付けたからきっと私の事なんて何とも思ってないはずだ。

私はそれでいいのか?まだ、幸村への想いがあるのかさえ分からないのに。

マサと軽々しく恋人になってしまった。
また、傷付けるかもしれない。
それなら私はどうすればいいのだ?
彼を避けるかそれとも………。

あまり深く考えるのは止めよう。
今はきっといい答えが出ない。
考えるのは頭を冷やしてからにしよう。



『別に探さなくてよかったし。寂しくなんかないもん』
こういう時何で私は素直にありがとうって言えないんだろう。
本当は寂しいんだ。一人になったらお祖父様の事を思い出しちゃうから、一人にはなりたくない。
私には素直さが欠けてるのかも。


「はいはい、本当は寂しかったでしょ?だって璃琥は寂しがりやだからさ!」
理央には私の事分かってもらえるから楽だって思える。
いつも私が悲しいとき必ず側に居てくれるのは理央だったな。

私きっと理央に裏切られたら立ち直れないかも。華恋もだけど理央は私にとっては特別な存在なんだ。

じゃあ、幸村はどうなんだろう?
幸村とはかなり長い付き合いな気がする。
幸村は私の事どう思ってんだろう?昔かなり傷付けたからきっと私の事なんて何とも思ってないはずだ。

私はそれでいいのか?まだ、幸村への想いがあるのかさえ分からないのに。

マサと軽々しく恋人になってしまった。
また、傷付けるかもしれない。
それなら私はどうすればいいのだ?
彼を避けるかそれとも………。

あまり深く考えるのは止めよう。
今はきっといい答えが出ない。
考えるのは頭を冷やしてからにしよう。


「どうしたんじゃ、急にぼーっとして?それより幸村の見舞いはいいナリか?」
マサが私を心配したのか頬っぺたをつねった。
もうすこしやり方ってもんがあると思うがマサだから良しとしよう。



『ごめん、ちょっと考え事してた。幸村の見舞い今日はいいや』
気分的に今日は会いたくないな。
それに、家に帰ってゆっくり寝てたい。
明日と明後日は学校を休んで寝てよう。
薬も貰いに行かないといけないな。
時間がない分上手く事を進ませないと。



「そうなんだ。じゃあ、早く帰ろ!俺璃琥の家に泊まりたい」
理央が私の家に泊まりたいなんて言うから驚いた。


『いいけど、急にどうしたの?』
一応何でなのか聞いてみた。
まあ、答えは分かってるけどね。



「そんなの決まってんじゃん。今そういう気分なの!」
大当たり!予想どおりの答えが返ってきた。


『ふーん、気分ねぇ』
理央は猫みたいに気紛れだから今回みたいに泊まりたいって言うのは珍しくもなんともない。
だが、あまりにも気紛れ過ぎて時々理央の事がわからなくなる。

「じゃあ、今すぐ帰ろ!じゃあね。仁王」仁王に別れを告げて理央は私を引っ張るように病院を出た。
きっと
理央もあの人に会いたくないんだ。それだけは私も理央と同意見だ。


「ふぁ、やっと病院から出てた。この病院幸村が入院してようが、次は絶対行かないからな!」
じゃあなんで居るのってツッコミたくなったが、ここは何も言わないようにしよう。


「つかさ、お姉ちゃんはなんでこの病院に居たの?魔王のお見舞い?それとも魔王に告白しに来たの?」
お姉ちゃんって周りに人がいないからいいけど誰かいたらお前の正体バレんぞっ!
それよりもこの子好き勝手言い過ぎ。
お見舞いはいいけど告白って何?私別に幸村の事好きじゃないし!



『よくもそうべらべらと喋るわね。それに私幸村の事なんて、なんとも想ってないから』
これはきっと本音じゃない。
自分にそう言い聞かせたいだけだ。
本当は好きなのかもしれない。だけど私にはマサがいる。
これもきっと自分の本当の気持ちを知らないために過ぎない。
私はなんでこんなに自分の気持ちに臆病になったんだろう。


「あれ、でもさ、お姉ちゃんは仁王と付き合ってたよね?あれはなんなの一体」
ちっ、やっぱし気付いていたか。



『気付いていたんだね?でも、私が何をやろうとお前には関係ないから。たとえ腹違いの妹でもね』
こうやって釘を刺した方が後々楽だ。



「ふーん、まあ、
俺には関係ないからいいんだけどね。それより早く帰ろうよ!」
理央がこう簡単に折れるなんて珍しい。
なんか裏があるんじゃないよね?
でも、理央が私に何かするなんて今までなかったし考えすぎだよね。



『そうだね』




2010年12月8日

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