マネージャーとアイドル
「すまない。お前にずっと、隠していた事があるんだ」
「え?」
ずらりと目の前に並ぶ三人。
どれもイケメン。それもそうだ。なぜなら彼等はアイドルなのだから。
しかし、綺麗な顔を歪め、リーダーであるクールの代名詞である佑樹(ゆうき)を筆頭に俺に向かって謝罪を始め、言葉を繋ぐ。
何事かと首をかしげると。
「俺は実はドMなんだ!!!」
「……………………は?」
ポカーンと開く俺を置いて、メンバーは次々と叫ぶ。
「俺は三丁目の本屋のお兄さんと付き合ってるんだ!!!」
「ええぇえええ!ちょっ樹(たつ)もいきなり何言って…!」
「実は、お前が好きです!!付き合ってください!!エッチするレベルで!!!!あと変態です!!!!」
「おいいいいいい!圭吾(けいご)に至っては衝撃的すぎるわ!!!あと変態なのは知ってる!!いいからちょっと落ち着け!」
はぁはぁと肩で息をして深呼吸。
おち、落ち着け…俺。大丈夫だ、自分を見失うな。
「えーっと、まずリーダーの佑樹は?」
「ドMです」
「……あぁうんわかった。で?樹は」
「三丁目のお兄さんとこの前ブルマ履いてエッチしました」
「さっき言ったのと全然違うよね?プレイ内容なんて聞きたくなかったかな、お兄さん」
「翔(しょう)が好きです」
「うんまだ圭吾には聞いてない。え、なに。ちょマジで?」
うん と三人同時に頷くもんだからたまらない。いやいやいやそれを知ったとこで俺はどうしたらいいの。
「とりあえず圭吾は無理です」
「……なんで」
「変態だし変態だし変態だから」
「変態カッコイイだろ…」
カッコよくねぇよ!そう怒鳴ってやりたかったが我慢。
「まぁこれをマスコミに言おうかと思ってんだけど…どう?」
「どう?じゃねぇえええええ!!」
俺の叫びが楽屋内に木霊する。
それだけではなく、次の日発売の雑誌の表紙を飾っていたのは樹と優しげな男がキスしている写真のせいで気を失うとは思いもよらないだろう。