「おいお前まで何言って…。正直の事を言え」
「ハハハ、無理矢理なんてあるはずないですよー」
「おら、俺のハニーもこう言ってんだよ。ドMは黙っとけ」
「あの、あなたこそ黙っててくれません?俺これでも怒ってるんですよ?」

ガクガクと肩を揺さぶられ聞かれるが酔う。酔うから。リバースしそうだから。つか五味先輩は黙っとけ。あんたのせいでこうなったんだ。

「怒るハニーも可愛いんだが、事の始まりはこのドMだろうが。ハニーが襲われかけてるのを俺が助けたおかげで助かった。つまり本来なら俺は感謝されるべきだろ」
「え、あー確かに…」

いや待ておかしいだろ。自分で今確かにとか言ったけど結局俺は先輩にセクハラされたから会計さんとやられたこと同じじゃねぇの。

「とりあえず会計さん、もう今回は見逃してください。正直事になるのがめんどくさいんで」
「お前イかされたのにポジティブというか大雑把というか…」
「あと会計さんのその性癖、次会った時は直していてくださいね」

気持ち悪いから。

にっこりと笑えばなんで嬉しそうな顔をするんだ。だがもうつっこまない、早く帰りたい。

「あーもう俺帰ります」
「上条がいいならもうコレに対する罰はいいのか?」
「はぁ…、だって俺風紀委員長の親衛隊に殺されたくありませんし。……といっても、多分もうバレてますが…」
「アイツらなんか気にすんな。真は俺だけを見てろ」
「あの、ほんと黙ってて下さい」
「じゃあもう帰っていいぞ」
「では俺はここで――と、あと五味先輩」
「ん、なんだ?」
「助けてくれたのは感謝、してます……」

会計さんに襲われかけた時、とっさに助けを求めてしまったのは五味先輩だし、助けに来てくれたのも五味先輩だ。だから、一応は感謝してるつもりで礼を言うが、なんだか気恥ずかしくて語尾がゴニョゴニョと小さくなる。いやでも言い切ったからもういい。

「真、」
「なんですか…」

正直呼び止めてほしくなかったけど足は止める。どうせこういう時だけ真面目な顔して言うんだろ。

「気を付けて帰れよ」








「あ、おかえり……て、どした?」
「ただいま…っ」

俺は第一あーいうのが嫌なんだ。思わず振り返ってみたらなんで、あんな、顔。

「おーい真大丈夫か?――顔、真っ赤だぞ?」
「も…、アイツ…嫌いだ」

これは断じてときめいたとかそんなんじゃない、自分にそう言い聞かせ、ため息をはいた。



(……なんかあった?)
(おおヤス。いやまぁ、相変わらず可愛いというか、もう少しというか)
(ふーん)


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