厄介でめんどくさいのは委員長様だけじゃない。廊下をただ歩いていただけなのになんで会ってしまうかなぁ。そういや昨日もここで委員長様と会ってしまったな。明日から絶対この廊下使わない。

「あ…」

相手に聞こえるよう舌打ちをしたら相手は怒るどころか光悦とした表情で俺を見る。こっち見んな。

「か、上条…っ」
「ちょっこっち来ないで下さい」

あ…本音出ちまった。いやだってこの人おかしいし。なんで突き放すほど気持ち良さそうな顔するんだ。頼む、来ないで。


「あのですね、会計さん。仮にも生徒会の一員である、あなたがなんで…あ、そこから近付かないで」
「お前……放置プレイなんてなんて高度な…。そ、それならいっそのこと犬って呼べよ」


や、べぇよ、…っ!なんなんだこの人。マジで気持ち悪い。鳥肌が全身に出来て思わず後ずさる。すればカクンッと片足が地につかず体の重心は後ろに……て、え?


「ご主人…っ!」


あ、落ちてるのか と気付く。なんか会計さんがよく分からない事を言ってる。あぁ…俺はこのドMな会計さんにご主人と言われて死ぬのか。グッバイ裕一、永田先輩と幸せに。目を閉じて襲いかかるであろう衝撃に体を固くする、が。


「あれ?」
「、っ」

痛くない。変わりに布の感触。見上げれば会計さんがいた。

「なんで…」
「いや普通助けるだろ」
「あ、うん…」

いやまぁ常識的には分かるけど、助けてくれるとは思わなかった。

「大丈夫か?」
「は、はい…」
「ならよかった」

ふわり と笑う会計さんにじわじわと何かが心を満たす。今さら会計さんの上に乗っている自分が恥ずかしくて膝に力を入れた。

「って…!」

呻き声が聞こえて思わず顔をあげると痛そうに顔を歪めた会計さんが……なんてことはなく、頬を赤くして心なしか息が荒くないか?うわぁ と思いながら見下ろしていればなんか腰に当たる硬い感触。


「ちょっなんか当たって…」
「うぁ、やめ…っ、きもち…!」
「ぎゃぁああ!!」


咄嗟に会計さんから離れるが、離れた時に会計さんの足首を踏んでしまってさらに興奮させてしまった。


「か、上条…やべぇな、お前」


やべぇのはお前の頭だ。そう言ってやりたいが床を張ってじりじりと近付いてくる会計さんに思わず腰が抜けてしまった。あまりの気持ち悪さに。


「な、なぁ…次は背中を踏んづけてくれないか?」
「ちょっ本当に気持ち悪い!!会計さん、あなたイケメン設定なキャラが完全崩壊ですよ!」
「知るか。それより…」


がしっと足首を掴まれて全身に鳥肌が立つ。息が荒い会計さんに腰を触られてぎゅっと目を瞑り思わず叫ぶ。


「五味せんぱ…っ!」





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