(勇馬視点)



今日は朝から何故か気乗りしない。なんでだろうか。寒気がするというかなんというか。

「風邪じゃない?」
「あー俺も今そう思った」
「ちょっとうつさないでよ」
「その払う仕草やめろ」

風邪、ではない気がする。だけどゾワゾワとする感覚はなんなんだ。


教室はいつもより賑やかで、クラスメートに挨拶されて返す。ついでに騒がしい理由も聞けばなんと転校生だそうだ。


「勇馬以来の不思議転校生だね」
「転校生ねぇ」


鞄を机に置いて椅子に座る。外は少し曇っていて嫌な天気だ。


「なんか今日おかしくねぇ?」
「何が?」
「なんか、ゾワゾワというか」
「だからそれ風邪じゃないの?」
「知らん」


休もうかな と呟くと同時に中ちゃんが教室に入ってきた為その希望は砕けた。


「多分お前らの様子からもう知ってると思うが転校生がこのクラスにくる。で、だ、おい柳入って来い」


開けっ放しのドアに向かって中ちゃんは叫ぶ。ふーん、転校生は柳君ね。やなぎ、……ね。肘をついて手のひらに顎を乗せてぼーっとしていればブレザーの下に来たパーカーのフードを深く被った男が教室に入ってくる。可愛い男の子は黄色い声を出してるが怪しさ抜群だろおい。呆れた視線を向けているとふと男がこっちを見た気がする。
その瞬間、頭からゾクッと一気に血の気が引く。なんだこれ、この感覚、覚えが…。


「名前は ――」


黒板に書いた名前と中ちゃんが言った言葉にきぃん と耳鳴りがする。中ちゃんの声は何故か窓ガラス越しに聞いてるような感じだ。しかしそんなことより、ここから逃げたい。
ガタリと勢いよく立ち上がって後ろのドアを開ける。逃げたい、誰か、なんで、あいつが、ここに。


「感動の再会に待ちきれんくて飛び込んで来たん?相変わらず可愛い事してくれんなぁ」


聞き覚えがある声に思い出したくないやつ。目の前にあるのは廊下ではなく人のぬくもり。勢いをつけすぎたためか思いっきりヤツに顔をぶつけ、その反動でフードが外れ顔が露になる。おそるおそると見上げればあぁ、やっぱり。


「お久しぶりデス、一葉クン」


本当に涙目になった。つかさっきまで前にいたのになんで教室の後ろにいるんだ。

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