結局あの後澄達と合流し校舎を出る。寮への道を歩く間に澄へ何のために学校へ来たのかを聞けば、生徒会の大事な書類を忘れたそうだ。
一階から外に出て澄達とは別れ会計ちゃんと俺は寮へつく。中に入れば伊東さんが堂々と煙草を吸って立っていた。


「おー帰ってきたか。わりいな警備員の事」
「焦ったんすけど…」
「まぁ嘘だけど」
「「はぁ!?」」
「警備員の見回りは10時からだ。時間見ろよまだ7時だろうが」
「くっそ、むかつく」
「あ?なんか言ったか?」
「すいません何も言ってないデス。だからそのぶっといファイルを、ちらつかせないでください」
「まぁ今からすることねぇし寮行事もなしになったら」


じゃあなと言って伊東さんは部屋に行ってしまった。なんて俺様と言うかマイペースというか。まぁいいか、とりあえず今は会計ちゃんと、うん。こっちが先決だ。ぐっと心で拳を握り会計ちゃんを見ればバッチリ目が合った。おおう。


「あっあのさ」
「え、はい」

首元を掴まれて会計ちゃんとの距離が縮まる。

「今から、お前、と」
「へ?」
「あの、俺の部屋に…」


聞こえてしまった。語尾が小さくてか細くだが確かに聞こえた。来て、と。はい、と二つ返事で返す。嬉しいのは嬉しいんだが首元を掴まれて苦しい。


案内された俺の部屋の隣、会計ちゃんの部屋はモノクロで整われていた。シンプルで整理整頓されている。A型かと聞けばB型だと言われた。


「お、お茶でいいか?」
「いやいやおかまいなく。むしろ直先輩の方が」
「…っ、お茶な!」


はーいと返事をしながらその場に座る。小さなガラステーブルの前で正座をして会計ちゃんの帰りを待つ。コップを二つ持った会計ちゃんはそんな俺の様子を見て苦笑した。何がおかしい。


「正座なんかしなくていいからな。つーか高橋が正座ってなんか」
「変ですか?」
「うんまぁ」


目の前に片方のコップを置いて向かい側に会計ちゃんは座る。いや待て、なんで。隣、隣に来てください。俺はそれを期待してるんですから。でもそんな事には気付かない会計ちゃんなので俺からいきます。


「っ!」
「なんでそんな逃げるんですか」


手を床につけ、それを軸に距離を一気に縮める。それに反するように会計ちゃんは腰を引く。まぁでも会計ちゃんの後ろはベッドだから逃げるにも限界がある。


「あ、」
「逃げると追いかけたくなる性格なので。あ、先輩限定ですが」
「うっ、うるさ…」
「もう黙って下さい」


うるさい口は塞いでしまおう、唇で。それが俺のモットーです。逃げる腰を引き寄せてマウスとぅマウス、柔らかく重ねるようにキス。


「ね、先輩。ちょっと膝立ちしてくれませんか?」
「ん、ひざ…?」


くっと膝立ちになった会計ちゃんを俺の膝に乗せる。背中はベッド横に凭れて会計ちゃんを見上げる。体制が恥ずかしいせいか頬は真っ赤、だが俺の肩に触れてる手は弱々しくシャツを握っていた。


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「見えない臓器の名前は」
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