土曜日の昼過ぎ、当然学校はなく寮の方で暇を持て余していた。一階にてジュースを買った俺はふと近くにある掲示板に貼られたA4サイズの紙を見る。


「寮行事?」







 うちの学校では毎年この時期になると各寮ごとに行事を行うらしい。強制参加で今年は花火大会。て、夏祭りじゃねーか。


「夏祭りじゃないよー」
「うお…!……瀬波かよ」


後ろからガバッと背中に抱き着く瀬波の言葉にふーんと漏らす。つか心を読むな、暑いから離れろ。


「そういや会計と付き合ってるらしいじゃん」
「なんで知ってんだよ」
「副会長が言いふらしてた」
「……」


アイツはなんのためにそんな。はぁ、とため息をついて項垂れる。いやでも、これで会計ちゃんにつく虫がいなくなる可能性はありだということか。


「勇馬、それちょうだい」
「どれ」
「ジュース」
「ん、」


持っていたジュースを瀬波に渡せばありがとーとあまり誠意がない返事が返ってくる。寮行事ということは会計ちゃんも参加するのか。花火持ってる会計ちゃんとかなんか興奮するんだが。


「勇馬キモい」
「あっそ」
「拗ねないでよ」
「拗ねてねぇ」
「あっそ」
「……」


はぁ、と瀬波がため息をはく。いやなんでお前がため息をはくんだ。俺がはきたい。


「そうだ、なんで勇馬一人なの?てっきり会計とイチャイチャしてるかと思ったのに」
「…っ!」
「…勇馬?」


触れてほしくないところに触れてきやがったコイツ。やめて、泣く、泣きそう。


「ちょっ、なんで泣いてんの!?」


会計ちゃんに避けられている、という現実を改めて突きつけられてしまい、俺の心は砕け散った。

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -