「…好き、です」


柄にもなく心臓が早い。多分人生の中で一番だ。俺の心臓は最新記録を出しました。抱き締めているから多分彼にも伝わっているはず。


「……え、あ、えっと、あの、なにが、…じゃなくて、その」


数秒沈黙の空気だったものは会計ちゃんの言葉により変わる。背にまわされていた腕はいつの間にかシーツを握っていた。それはなんだか悲しくて俺は体を一度離して会計ちゃんを見る、が。


「ちょっ、まて、意味がわからな…!」
「……」
「好き、って、あ…、え?」
「そのまんまの意味です」
「そのまんまって…」
「先輩が、あなたが好きって言ってるんですよ」


直球ストレート、会計ちゃんの顔はみるみるうちに真っ赤になり俺との視線を離した。


「お、俺…が?」
「はい」


沈黙がまたやってきた。告白はした、だからこれ以上は攻める気はない。腕に力を入れて覆い被さっていた体をおこす。


「今すぐに返事がほしいわけじゃないんです」
「あ…」
「困らせてすみません」
「ちが、困るとかそんなんじゃ」
「だって震えてますし。それ以前に同性からの告白とか気持ち悪いだろうですし」
「…!」
「じゃあ今日はこれ…っで」


なるべく会計ちゃんを見ずに、この元気百倍息子を慰めたいとトイレに向かうが体は前にじゃなく後ろに。手首にこもった力、引き留められたのだ。


「お、俺はっ、お前の告白を気持ち悪いとか、困るとか、思うわけが…!」

「そうじゃなくて、伝えるのが苦手で、ほんとは嬉しくて…」

「だから、あの、俺も、す――」


なんて事を言うんだ。
なんでこんなに俺が嬉しくなるような事を言うんだ。

ギュッと思わず腕に収める。緊張が固まっていた体は更に固くなったが離してなんかやれない。


「じゃあ俺と、付き合って下さい」
「あ、あぁ…」


俺の手首を掴んでいた会計ちゃんの手を握れば小さな力で握り返してくれた。



<おまけ>

「伊東さん」

「あ?」

「薬なんてそんなもの俺に与えないで下さい」

「気付いてたのかよ」

「流石にあそこまで出してもおさまらないって薬しかないでしょ」

「ふーんつまんねぇ」

「だからこういうのは中ちゃんに」

「クロの名前気安く呼ぶな、殺すぞ」

「……さーせん」

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