風紀会が終わり、教室に戻る途中もいろんな人の視線が体に当たる。しかも廊下では人が避けていくし。泣くぞ。


「勇馬何したのさ」
「なんもしてねぇよ」
「いいんちょさんに呼び出されるなんて」


しかし瀬波は普通なのだがなんなんだ。てかやっぱあれが風紀委員長なのか。


「おー高橋呼び出しくらったみたいじゃねぇか」
「それがよく分かんねぇんだよ中ちゃん」
「放課後風紀室に来いってさ」
「三階の?」
「そー」


三階とか初めて行くんだが。


昼休みに風紀会があり、それから三時間は早いもんで帰宅時間になった。風紀は忘れてない。別に瀬波に言われて思い出したとかないから。
三階にあがるにはパスワードを入力しなきゃいけないらしく、中ちゃんに教えてもらった言葉を入力する。


「しかしなんだこのパス」


三階のパスワードは風紀委員長が決めれるらしい。てことはこれは風紀委員長が決めた、と。


「lonove、ねぇ」


何か単語に小首を傾げながらも三階の風紀室へ足を踏み入れた。心境的にはラスボスを倒す勇者な気分です。


「おー来た来た」
「こいつが?」
「確かにタラシみたいなやつだな」


中には眼鏡やちっちゃい子や強面な人が一気にこっちを見た。どこのヤンキーだってやつもいるし、感想を言うならばカオスだ。


「まぁそういうやつこそ喧嘩は弱いっ、てね!」


左にいた風紀の人が語尾を強めるのと同時に回し蹴りをかましてきた。いきなりだ、急すぎる。だけどここは冷静に100円見つけたとしゃがみこみ、下から100円をちらつかせて笑えば目を丸くされた。しかし徐々に怒りへと表情は変化していき「調子乗んな!」と怒鳴られる。なんでさ。


「馬鹿にしてんのかっ!」
「こいつ反論したぞ!」
「やっちまえ」


周りにいた他の人も今の状況を見て飛びかかってきた。いやいや怖い怖い。気持ちいい事は大好きだが、痛いのは論外。だから飛んでくる拳や足はちゃんと避ける。
しかしそれは全員ではなくて奥には優雅にお茶を飲んでいる人だっている。その中の一人が側にいた人と何度か会話をした後、すっと静かに立った。


「カズが来るから片付けよっか」


まるで子供にオモチャを片付けるよう言い聞かせたその言葉を聞いた人らは青い顔をしながら辺りを見渡す。もちろん殴りかかってきた人らもだ。すぐに崩れた本棚や乱れた書類等を整え始め、何もなかったかのように整頓されていく。もう何がなんだかわかんねぇ。ポカーンとその様子を見ていたら片付けろ、命令した人が寄ってきた。それともう一人。


「高橋君だっけ?喧嘩、強いんだね」
「あ、はぁ」
「一弥様に比べたらこんなもの」
「こら」


あ、この人見たことある。あれだ、風紀会でいつも前にいる副委員長じゃないか。


「あ、カズが来た」


前触れもなく、ラスボスは来た。




修正しますた

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