「直は誰かにあげるの?」 「え、何を…」 「チョコレート」 あ生徒会での一時。今日も仕事はたんまり詰み上がっていて書類を確認したりと手を動かす。そんな中、ふと澄さんが俺に声をかけてきた。 「??」 「よく分からないって顔してるね」 「はぁ…」 「もうすぐバレンタインでしょ?好きとかじゃなくて感謝してる人とかにあげたりしないのってこと」 「あぁ、そういう事ですか」 「うん」 あニコニコともはや仕事せずにこっちを見てくる。しかも幽までなんだその目のきらめき。 「え…、考えてなかったです」 「だと思った」 「そういう澄さんは」 「僕?僕も考えてない」 「ガトーショコラ」 「へ?」 あ黙りだった会長がいきなり口を開く。それにもびっくりしたが有名なお菓子の名前を言った事にも驚きを隠せない。 「会長ガトーショコラ欲しいの?」 「あぁ」 「甘いもの大丈夫なんですか?」 「大丈夫だ。だからほしい」 あ作ってくれ と会長に言われて少し嬉しくなる。なんだって尊敬してる人だ。嬉しくならないわけがない。 「じゃあ僕のも」 「直先輩、俺のも!」 「う、上手く作れないかもしれないぞ?」 「直は料理が得意って知ってるから」 「前食べたクッキー美味しかったです!」 あそう次から次へと言葉を投げ掛けられて困惑しながらも了解の意味を含めて頷く。 「あ、あとさ」 あニコニコからニヤニヤに変わった澄さんの顔は身を少し乗り出して聞いた。 「勇馬のは?どうするの?」 あそう名前を出した瞬間会長や幽の視線が鋭くなった事に気付かず、頬を染めながらどうしようかと考えを巡らせる会計の姿があった。 |