「てなワケでどうしよう」
「知るか」


あれからすぐに図書室から出て寮に戻った。そのまま管理人室で会計ちゃんを誘っちゃいましたと悩みを打ち明けたのにらなんだその態度は。安物のキャスター付きの椅子を移動させて伊東さんの隣まで近寄ったら肘が鳩尾に入った。痛い。


「近寄んな」
「ぶー」
「出てけ」
「暇です」
「うるさいんだよ」
「伊東さんがつれないです」


キィキィならしながら椅子を飽きる事なく回していればため息と共に此方を見た。


「手前、子犬を誘っちゃいましたって言ってるけどよ、兄にバレると消されるぞ?」
「あに?」
「なんだ、まだ目をつけられてねぇのか?」
「め?」


何を言っているのか分かりません。頭の悪い僕にも分かるように説明してください。


「いや、言わないでおくわ」
「は!?なんで?」
「アイツに会った時の手前の反応が気になるから」
「くっ…このドSが」
「誉め言葉としてもらっておく」


ふんっ と鼻で笑われて伊東さんはまた俺に背を向けてしまった。この女王様が、いつかヒィヒィ言わせてやろうか。


「欲求不満なんで帰りますー」
「部屋で抜いとけ」
「じゃあオカズは伊東さ―…いたっ」
「さっさと出てけ」


思いっきりなにか本らしき物体の角が後頭部に当たり、部屋を追い出された。てか痛い、真面目に。


「ってぇ―…」
「だ、大丈夫、か?」


半泣き(笑)気味になって頭を抱え込んでしゃがんだら上から優しい労りの言葉と心配そうな会計ちゃんの顔。


「会計ちゃぁん」
「ちゃん!?てか、血が…出てるぞ?」
「へ?」


気付いたら目の前は真っ赤になっていた。なんだこれ、某RPGの瀕死状態じゃね?



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