ニッコリ笑う転校生の顔に頬が熱くなるのを感じる。やめてほしい。本当にそういう態度をとられると、なんか。


「はなっ離せ!」
「わっ」


結ばれていた小指を振りほどき、ヤツの胸板を思いっきり押す。力加減なんて考えてられるか、今すぐここから逃げたい。それだけが頭をしめていた。


「もっ、あとは自分でやれ…!」
「えっ!?」


体の密着がなくなり、とりあえず立ち上がる。そのまま捨て台詞のように吐き捨てて逃げるようにを飛び出した。

自室に戻ってドアを思いっきり閉める。結構大きな音が出たけど気にしない。気にしてられるか。玄関に背を預ければ背中にひんやりと冷たい感覚。あー、ダメだ。第一アイツがいきなりキスとか、押し倒してきたりするのが悪い。


「あ―…、くそっ」


例の転校生に会った時からおかしい。エレベーターでいきなりキスされて、ワケが分からなくて。腰とか触られてゾワゾワして泣きそうになって。


「〜〜乙女かよ、おれ」


部屋まで隣とか副会長に言われて頭に浮かぶアイツの顔、肌に触れる手の感触。


「―…!」


あぁもう!誰か助けてくれ!

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テーマ「人外ファンタジー」
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