「勇馬って寮?」 「あぁ」 「どこ?」 「もみじってやつ」 「マジで、同じじゃん」 「マジでか」 朝の事もあったからなのか瀬波はよく話しかけてくる。これがネコちゃんだったら良かったと何度思ったことか。 それはさておき今は放課後。うちの学園では数種類の寮がある。まるで幼稚園みたいな名前な寮は全部で3つあり、その中でもランク付けされている。俺が入る寮の名前は「もみじ寮」で位では二番目に値する。因みに一番は「さくら寮」、下位は「みかん寮」だ。 「ここが管理人室だから。また後でね」 「おー」 管理人室に挨拶へしなけらばならないらしく、少し身だしなみを整えてドアを開けた。 「入るときはノックしろと言ってるはずだ。殴り飛ばすぞ」 最初に見えたのは背中。次に罵倒、そして顔。え、あれ、この人。 「……誰だ?」 「朝に会いましたよね?あの警備員みたいな人ですよね?」 「朝…?――あぁ、お前まさか転校生か?」 まさかの出会い。朝職員室への場所を聞いた警備員さんが管理人さんだなんて。これは運命じゃないか。 「高橋だな。俺はもみじの伊東だ、よろしく」 差し出された手を素直に握ればいきなり力一杯握り込まれる。いいい痛い痛い。 「言っておくが、ここの規則をやぶるなんて真似すんなよ」 「規則?」 「まぁそれは隣の部屋のやつとかに聞け。都合よく子犬と隣らしいからな」 「分かりましたって。とりあえず痛いです」 そう言ったらパッと離される。が、痛い。赤くなってるし。息を吹き掛けておこう。ふーふー。 「305な。三階の一番はしだ」 「一番端っこですか」 「ほら、鍵」 「…あざっす」 少々、いやかなり適当な対応をされているが気にしない。だってあの笑み大好きだから。襲いたい、快感に歪ましてやりたい。によによ。 「今なら子犬もいると思うから挨拶してきな」 「はぁ」 子犬ってなんだ? |