「なにしてるのかな?」


わぉ、金髪美人。いやいやじゃなくてしっかり俺。エレベーターはいつの間にか目的の階まで着いていたらしく、一度ドアは開いたが時間がたったからもう一度閉じたってとこか。なるほど。


「ぐぼっ!」
「副会長…!助かりました」
「大丈夫?コイツ節操なしだから気を付けないと」


俺がほけーとしていた間に金髪のピアス君は見事な拳を鳩尾に一発。絶対喧嘩強いよね、この子。てか俺が節操なしってなんで金髪美人が知ってるんだろうか。


「久しぶり」
「へ?久しぶり?」
「あぁ、髪とか染めたから分からないのかな?」


ニッコリ笑う金髪美人は親しげに話しかけてくるが知らん。俺はこんな可愛い子ちゃんは知らん。知ってたら絶対襲ってるはずだから。あぁ今まで抱いた子はちゃんと名前とか覚えてっから。偉い、俺。


「北村澄、って覚えてないかな?」「きたむら、すみ」


リピートを何度か繰り返して頭の中を探る、け、ど……あ。
思 い 出 し た。


「はは…っ」
「あぁその顔、思い出したみたいだね?」
「いやいや知らん、北村なんて知らん」
「やだなぁ、親友の顔も忘れちゃったの?」


ピアス君が俺の腕から抜け出したがそれどころじゃない。入れ代わりみたいに入ってきた澄が怖い。笑顔が怖い。助けて。


「見事にうちの会計に手を出してたね」
「あは、はは、会計さんだったんですねー。知らなかっ」


た、を言う前に俺の横に……てか壁にシャーペン。俺の笑顔もひきつってきて冷や汗が頬を伝う。

北村澄、前の街にてお隣だった一個上のお友達。可愛い子が大好きな俺はまぁ襲ったけど見事にやり返された。あ、犯されたわけじゃないけど拘束されて大事な息子をハサミで切ら、まぁとりあえずトラウマありまくりの怖い子。部屋も窓から行き来してて俺の部屋でシてたらうるさいと言ってカッター飛んでくるし。いきなり引越ししてしまいちょっと寂しかったがハサミやカッターは飛んで来なくなった。
こうやってまた再会したから気付いたけど腕上げたね。シャーペンが壁に突き刺さるって何者だよ。


「因みに僕は副会長ね」
「へ、へぇ〜、澄が副会長だなんて知ってたらここにこなかっ」


いや、だからせめて最後まで言わせて。あとボールペンを片手にこっち見ないで。あぁ分かったから分かりましたって。


「すいませんでした」
「よろしい」


45度体を傾けて頭を下げればよしの言葉。刺さっていたシャーペンを抜いてエレベーターから出た澄に続いて広い廊下に出る。


「とりあえず先生に会ってから校長先生に会ってもらうから」
「うぃー」
「お前、口の聞き方が…!」
「あぁいいのいいの。コイツは昔からの仲だから」
「そーだよ、いいんだよ。だから名前を教えてください」


とりあえず会計ちゃんなのは分かったから名前を知りたい。会計ちゃんは睨んでくるけど澄が教えてやりなよ、と言ったからか渋々と言ったように口を開く。


「如月だ」
「いや名前」
「直……」


おおっ金髪ピアス君は如月直と呼ぶらしい。なおちゃんって読んだら殺されるかもだからここは大人しく如月先輩って呼ぼう。


「あぁ一応言っとくけどこの学校で校則を破ったら風紀が動くから」
「風紀?」
「まぁ勇馬だったら明日には風紀が動く事になるだろうね。節操ないし」
「へー」


何それ会ってみたい。いただきたい。にへ、としていたら直ちゃんに凄い顔された。そんな引かなくても。

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