恋愛ゲーム


好きで好きで、だけど遠くから見つめるしかなくて。何よりも俺は男だしアイツだって男だ。だからといって諦められなくて見つめていたのに。向こうから誘ってきた時は泣きそうになった。


右京と俺は付き合っていた。いや、それは形だけだったから付き合っていた という表現は間違ってるかもしれない。けど俺は右京が好きで、アイツに触れられる度に心臓は早くなってすぐに熱い熱に溶かされる。

(好きだって言ったのが駄目だったのかな…)

気付いた時には右京と俺の間に見えない壁が出来ていた。







大学生になって俺の気分は上昇している。どこのサークルに入ろうか。友達は出来るのか。フワフワの茶色が風に揺れて胸いっぱいに春の空気を吸う。

「よし!!」

高校を卒業してから俺は所謂イメチェンと呼ばれるものに挑戦してみた。黒かった髪は茶色になって明るめで落ち着いた服装。ハッキリ言ってこんなのは右京を忘れる為に行なっただけだ。でもそんな俺に協力してくれたのは俺の一個上の先輩で、この大学の二回生である。
ここの大学を進めてくれたのだって先輩のお陰で、ファッションだって髪を染めるのだって手伝ってくれた。大学のサークルも誘ってくれたので言われた部屋を探す。

(デッドorアライブ…てどこに――…あ、あった)

手作り感溢れた貼り紙には赤と黒で「デッド・オア・アライブ」と書かれている。恐る恐ると軽くノックをすればすぐに扉は開いた。

「裕!!」
「わっ、和馬先輩…っ」

いきおいがついて俺に抱き着いてきたのは色々と俺の恩人の先輩だ。

「よくここだって分かったな」
「先輩の地図雑すぎ」
「俺の中では最高の出来なんだが」

おかしい とわざと大きな仕草で腕を組む先輩に思わず笑いが漏れる。

「さて、紹介したい人物がいてな、おい拓!」
「ったく、そんなでかい声出すな。聞こえている」
「あ、初めまして」

初めて見る人に頭を下げれば優しい声ではじめましてと返してくれた。さっぱりとした短い髪にインテリ眼鏡が妙に合っている。金髪で後ろにながした和馬先輩とは違うイケメンに目が眩しくなる。

「君が祐介君か」
「はいっ」
「和馬が言ったように元気な子だな」
「あ…すみません、うるさくて」
「俺は褒めてるんだが」
「えっ、ありがとうございます!」
「ちょちょ、俺を空気にすんな!」

割って入ってくる和馬先輩に俺と拓先輩は呆れたように笑う。

「んで、祐は何がお望みだ?」
「望み…」

ここのサークルは出されたゲーム、お題などをこなしていき最後にはゲームを始める前に言った自分の望みを叶える事が出来る。そう簡単に言われた説明に俺は考えていた望みを口に出す。

「右京を忘れたい」

見上げて和馬先輩を見れば面白そうな顔で笑いながら「りょーかい」と言う。俺の望みをどのように叶えてくれるかは知らないが俺にとってこれは唯一の望み。

「おっとまた一人来たようだ」

くるり と先輩の後ろに連れていかされドアは見えない。新入生なら仲良くしたいのに。


「デッド・オア・アライブってここか?」


ドアが開くのと同時に聞こえる声にどっと心臓が冷える。
待って、そんなはずが。

「あらら、間違いでもなんでもなかったんだね」
「俺にも参加させろ」
「君がここに来たということは……。ふーん、参加資格があるってわけだ」
「……」
「さて、君の望みを聞こうか
   ―――右京君?」


「………祐介に会わせろ」


低く唸るような声。
やっぱり聞こえ間違いじゃなかった。なんで?おかしい。俺は右京にフラれたはずなのに。


「りょーかい。では、デッド・オア・アライブにようこそ」




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受け 祐介「ゆうすけ」
茶髪のくせ毛 右京が好き
高校生の時告白されるが玉砕

攻め 右京「うきょう」
黒髪で右側に線をいれている
祐介の事は……

恩人 和馬「かずま」
祐介がお気に入り 世話焼き
金髪でデッド・オア・アライブを作った人物

先輩 拓「たく」
インテリ眼鏡
和馬に誘われてデッド・オア・アライブを作る




2011/05/14 02:13
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